ショッパーインサイトとは、買い物客が買い物中の実際の売場で商品を見つけ、比較し、購入または非購入を判断する背景にある本音や行動を読み解く考え方です。新商品開発、パッケージ改善、販促施策、ブランド評価に活かすには、調査目的に合った手法選びが欠かせません。この記事では、ショッパーインサイトの意味から主な調査手法、選び方、進め方までわかりやすく解説します。

ショッパーインサイトとは?買われる理由を読み解く考え方

ショッパーインサイトを理解するには、まず「ショッパー」と「インサイト」の意味を分けて考えることが大切です。商品を使う人と買う人は同じとは限らず、購入の瞬間には売り場、価格、パッケージ、陳列、競合商品など多くの要素が影響します。

ショッパーとは「買い物をする人」を指す言葉

ショッパーとは、商品やサービスを実際に購入する立場の人を指します。一般的に「消費者」は商品を使う人、「生活者」は日常生活の中で価値観や課題を持つ人として捉えられます。一方で、ショッパーは「買う場面にいる人」です。

たとえば、子ども向けのお菓子を食べるのは子どもでも、購入を判断するのは親である場合があります。介護用品を使うのは高齢の家族でも、店頭やECサイトで比較して購入するのは介護者かもしれません。つまり、商品を使う人と買う人が異なる場合、実際に購入する人、すなわちショッパーの心理や行動を把握することが重要になります。

ショッパーインサイトは購買現場の本音や行動を捉える視点

ショッパーインサイトとは、買い物客が売り場やECサイトで商品を選ぶときの心理、行動、迷い、判断基準を読み解く視点です。単に「好きか嫌いか」「買いたいか買いたくないか」を聞くだけではありません。

重要なのは、売場において、なぜ商品に気づいたのか、なぜ手に取ったのか、なぜ競合商品を選んだのか、なぜ買わずに戻したのかを明らかにすることです。購買の瞬間には、価格、ブランド、パッケージ、棚での見つけやすさ、POP、口コミ、過去の使用経験など様々な要素が複雑に絡み合います。

消費者インサイト・生活者インサイトとの違い

消費者インサイトは、商品やサービスを使う人の満足、不満、期待、課題に注目します。生活者インサイトは、日常生活の価値観、習慣、悩み、ライフスタイルを深く理解する考え方です。

一方、ショッパーインサイトは、購入場面に焦点を当てます。商品への好意が高くても、売り場で見つけにくい、価格が高く感じる、競合商品の方がお得に見える、パッケージから価値が伝わらないといった売場における要因が理由で買われないことがあります。商品評価と購買行動の間にあるギャップを読み解くのが、ショッパーインサイトの役割です。

なぜ今、ショッパーインサイトが重視されるのか

商品が売れるかどうかは、品質やブランド力だけで決まるわけではありません。生活者の購買接点が店頭、EC、アプリ、広告、SNS、リテールメディアへ広がる中で、企業には「いつ、どこで、何が、どのように購入判断に影響したのか」を把握する力が求められています。

POSデータだけでは「買わなかった理由」まで見えにくい

POSデータは、何が、いつ、どれだけ売れたかを把握するうえで有効です。売上推移、併買商品、購入頻度、価格変更後の動きなどを確認できるため、マーケティングや営業戦略に欠かせないデータです。

ただし、POSデータだけでは「買わなかった理由」までは見えにくいという限界があります。商品を見たのに買わなかった人、棚前で迷った人、競合商品を選んだ人、価格を見て離脱した人の心理までは十分に読み取れません。ショッパーインサイト調査は、POSデータだけでは明らかにできない、売上データの背景にある購買心理や行動を補う役割を持ちます。

店頭・EC・リテールメディアで購買接点が複雑化している

買い物客は、店頭だけで商品を選ぶわけではありません。広告などで商品を知り、SNSや口コミを見て、ECサイトで価格を確認し、実店舗で実物を見てから購入することもあります。反対に、店頭で商品を見つけてからECで購入するケースもあります。

購買接点が複雑になるほど、どの接点が購入を後押ししたのかを把握することが重要になります。店頭POP、デジタル広告、アプリクーポン、商品レビュー、棚での見え方などが、買い物客の判断にどのように影響しているかを確認する必要があります。

商品開発から販促まで、意思決定の精度を高められる

ショッパーインサイトは、商品コンセプト、パッケージ、価格、棚割り、POP、広告表現など、幅広い意思決定に活用できます。担当者の経験や感覚だけで判断するのではなく、買い物客の反応や行動に基づいて改善できる点が大きなメリットです。

たとえば、パッケージ案の比較、売り場での視認性、POPの訴求力、広告接触後の購買意向、競合商品との比較理由などを調査すれば、社内提案や小売商談の説得力を高める情報を得ることができます。

ショッパーインサイトでわかること

ショッパーインサイト調査では、購入した結果だけでなく、そこに至るまでの、商品に気づく、比較する、迷う、手に取る、戻す、購入するという一連の流れを把握できます。売上データだけでは見えにくい、購買前後の小さな判断を捉えることがポイントです。

売り場で商品に気づいたか

どれほど優れた商品でも、売り場で見つけてもらえなければ購入候補に入りません。ショッパーインサイト調査では、陳列の位置、パッケージの視認性、棚全体の中での目立ち方、競合商品との見え方の違いなどを確認することができます。

特に新商品やリニューアル商品では、「棚に置けば自然に気づいてもらえる」と考えるのは安易です。買い物客は限られた時間の中で商品を探しています。商品名、色、形、訴求文言が売場で瞬時に伝わるかどうかは、購入率に影響します。

パッケージや価格をどう受け止めたか

買い物客は、短い時間でパッケージ、容量、価格、ブランド、訴求文言を見て判断します。調査では「お得に見えるか」「品質が伝わるか」「自分向けだと感じるか」「価格に納得できるか」なども確認できます。

たとえば、機能性を強調したパッケージが、買い物客には難しく見えているかもしれません。高級感を出したデザインが、逆に「高そう」「手に取りにくい」と受け止められる場合もあります。企業側の意図と買い物客の受け止め方のズレを確認することも大切です。

競合商品と比較して何を選んだか

実際の売り場では、自社商品だけが見られるわけではありません。買い物客は、同じ棚に並ぶ競合商品と比較しながら判断します。味、価格、容量、ブランドイメージ、デザイン、機能性、口コミ、キャンペーンなど、比較される要素は商品カテゴリや買う人の意識や価値観などによって異なります。

ショッパーインサイト調査では、自社商品がどのような基準で選ばれ、どのような理由で選ばれなかったのかを確認できます。競合に勝つためには、自社商品の強みだけでなく、買い物客が本当に比較しているポイントを把握する必要があります。

購入を後押しした要因・妨げた要因

購入を後押しする要因には、割引、限定感、POP、陳列位置、口コミ、パッケージのわかりやすさ、ブランドへの信頼などがあります。一方で、価格の違和感、用途の不明確さ、競合との差別化不足、容量への不満などが購入を妨げる場合もあります。

特に重要なのは、購入者だけでなく非購入者の理由を見ることです。買わなかった人の行動や発言には、商品改善や販促改善のヒントが隠れています。なぜ、購入に至らなかったのか、その要因を明らかにすることも大切です。

主な調査手法の違い|CLT・HUT・アンケート・インタビュー・模擬店舗調査

ショッパーインサイトを把握する方法は一つではありません。短時間で多くの声を集める調査、実際に商品を試してもらう調査、売り場に近い環境で行動を見る調査など、目的によって適した手法は異なります。

調査手法向いている目的主なメリット注意点
会場調査(CLT)会場での商品評価
製品、パッケージ、広告、コンセプトの比較評価
条件をそろえて評価を得やすい会場や運営の準備が必要
ホームユーステスト(HUT)自宅での使用感、継続使用の評価実生活に近い反応を確認できる使用状況を完全には管理しにくい
アンケート調査認知率、購入意向、満足度の把握多数の回答を定量的に集めやすい定性的な深い理由は見えにくい
インタビュー調査購買理由、不満、価値観の深掘り本音や背景を把握しやすいサンプル数は限られやすい
模擬店舗調査棚割り、陳列、POP、パッケージの検証売り場に近い行動を見られる実店舗と完全に同じ心理状態とは限らない

会場調査(CLT)は同じ条件で製品やパッケージを評価する調査

会場調査(CLT)は、調査対象者を会場に集め、同じ条件のもとで製品、パッケージ、広告、コンセプトなどを評価してもらう調査です。試飲・試食、香り、使用感、パッケージ比較など、環境条件をそろえて反応を確認したい場合に向いています。

たとえば、飲料の味を比較する場合、温度や提供量、提示順序がばらばらだと正確な比較が難しくなります。会場調査(CLT)では、条件をできるだけ統一することで、商品案ごとの評価差を見やすくできます。また、クローズドされた環境で行われるため、発売前の商品や未公開パッケージなど、機密性が高い調査にも適しています。


ホームユーステスト(HUT)は普段の生活の中で使用感を確認する調査

ホームユーステスト(HUT)は、調査対象者の自宅に商品や試作品を送り、一定期間使ってもらったうえで評価を集める調査です。シャンプー、化粧品、食品、日用品、調味料、家電周辺商品など、生活環境の中で実際の使われ方を確認したい商品に向いています。

CLTが「同じ条件で比較する」調査だとすれば、HUTは「普段の生活の中でどう使われるか」を見る調査です。継続使用後の満足度、家族の反応、収納しやすさ、使い切りやすさなど、会場では見えにくい評価を確認できます。


アンケート調査は多数の意見を定量的に把握できる

アンケート調査は、インターネット調査などを活用し、多くの対象者から回答を集め、認知率、購入意向、満足度、ブランドイメージなどを数値で把握する手法です。市場全体の傾向をつかみたい場合や、複数案を比較したい場合に有効です。

ただし、アンケートだけでは回答理由の深掘りに限界があります。「買いたい」と回答しても、実際の売り場で買うとは限りません。そのため、購買行動に近い示唆を得たい場合は、インタビュー、CLT、模擬店舗調査、購買データなどと組み合わせると効果的です。


インタビュー調査は購買理由や違和感を深掘りできる

インタビュー調査は、対象者の発言を通じて、購入理由、迷い、不満、価値観を深く理解する手法です。アンケート調査などの定量調査だけでは見えにくい、言葉になっていない本音や商品に対する違和感を探るのに向いています。

たとえば、買い物客が「何となく選ばなかった」と言った場合でも、詳しく聞くと「パッケージが自分向けに見えなかった」「価格差の理由がわからなかった」「売り場で用途が伝わらなかった」といったより深く詳しい理由が見えてくることがあります。


模擬店舗調査は売り場に近い環境で購買行動を検証できる

模擬店舗調査は、実際の店舗に近い空間を再現し、買い物客がどのように商品を見つけ、比較し、選ぶのかを観察・分析する調査です。棚割り、陳列、POP、パッケージ、競合商品との並び方を確認したい場合に適しています。

自社商品だけを見せて評価してもらう調査では、実際の購買場面と差が出る場合があります。模擬店舗調査では、競合商品と並んだ状態や棚全体の中での見え方を確認できるため、より実務に近い示唆を得やすくなります。


目的別に見るショッパーインサイト調査の選び方

調査手法は、流行や費用だけで選ぶものではありません。何を判断したいのか、どの場面の行動を知りたいのか、定量的な根拠が必要なのか、定性的な深い理由を知りたいのかによって、最適な調査は変わります。

新商品開発ならコンセプト・製品・パッケージを段階的に検証する

新商品開発では、いきなり完成品を評価するのではなく、段階的に検証することが重要です。まずはコンセプトの受容性を確認し、次に製品や試作品、最後にパッケージや売り場での見え方を検証します。

初期段階ではアンケートやインタビューでニーズや受容性を把握し、製品評価では会場調査(CLT)やホームユーステスト(HUT)を活用します。発売前には模擬店舗調査やシェルフテストを行うことで、売り場で選ばれる可能性を確認できます。

商品リニューアルなら既存ユーザーと離反者、未購入者の違いを見る

商品リニューアルでは、既存ユーザーの満足点を失わず、離反者や未購入者の不満を改善することが大切です。味、香り、使い心地、容量、価格、パッケージなど、変更点がどのように受け止められるかを確認します。

特に注意したいのは、企業側が改善だと思っている変更が、既存ユーザーには改悪と受け止められる場合です。リニューアル前後の比較調査を行うことで、守るべき価値と変えるべき要素を整理できます。

販促施策ならPOP・棚割り・陳列位置の影響を確認する

販促施策では、POPの文言、陳列場所、棚の高さ、隣に並ぶ競合商品、キャンペーン表示などが購買行動に影響します。模擬店舗調査やシェルフテストを活用すると、実際の売り場に近い条件で、どの施策が購入を後押しするか検証できます。

たとえば、POPの表現を変えるだけで商品の印象が変わる場合があります。価格訴求が有効な商品もあれば、品質や使用シーンを伝えた方が選ばれやすい商品もあります。調査によって、売り場で伝えるべきメッセージを見極めます。

ブランド評価なら購入前後のイメージ変化を把握する

ブランド評価では、認知、好意度、信頼感、購入意向、リピート意向などを確認します。購入前のイメージと使用後の評価にギャップがある場合、広告表現やパッケージ、売り場での訴求を見直す必要があります。

ブランドは、広告だけでつくられるものではありません。売り場での見え方、価格の受け止められ方、購入後の満足度もブランド評価に影響します。ショッパーインサイトを把握することで、ブランド体験を購買接点から改善できます。

広告施策なら認知・理解・購買行動への影響を見る

広告施策は、見られたか、理解されたか、印象に残ったかだけでなく、実際に購買意向や購買行動に結びついたかを見ることが重要です。インターネット調査などのアンケートで広告認知や理解を把握し、購買データや店頭行動と組み合わせると、施策の効果を立体的に評価できます。

広告で伝えた価値が、店頭パッケージやPOPでも一貫して伝わっているかも確認したいポイントです。広告と売り場のメッセージがずれていると、購入直前で迷いが生まれる可能性があります。

ショッパーインサイト調査の基本手順

ショッパーインサイト調査を成功させるには、いきなり手法を選ぶのではなく、目的、対象者、購買シーン、仮説、検証方法を順番に整理することが大切です。調査は「聞くこと」ではなく、意思決定に使うための材料の収集を目的に設計します。

調査目的と意思決定したい内容を明確にする

最初に決めるべきことは、調査によって何を判断したいのかです。パッケージ案を選びたいのか、価格を見直したいのか、販促施策を比較したいのかによって、必要なデータは変わります。

目的が曖昧なまま調査を行うと、結果も施策に活かしにくくなります。「A案とB案のどちらを採用するか」「購入を妨げている要因を知りたい」「小売商談で使える根拠がほしい」など、意思決定の場面まで具体化しましょう。

ターゲットと購買シーンを具体化する

誰に聞くのか、どの買い物場面を再現するのかを明確にします。既存ユーザー、未購入者、競合ユーザー、離反者では、見るべきポイントが異なります。

また、コンビニ、ドラッグストア、スーパー、ECなど、購買チャネルによって判断基準も変わります。短時間で選ぶ商品なのか、じっくり比較する商品なのか、家族のために買う商品なのかによって、調査設計も変わります。

仮説を立てて調査手法を選ぶ

「価格が高く見えるのではないか」「棚で目立っていないのではないか」「訴求文言が伝わっていないのではないか」など、事前仮説を立てます。そのうえで、定量的に確認するのか、行動を観察するのか、理由を深掘りするのかを決めます。

仮説があると、調査結果の読み解きがしやすくなります。仮説が外れた場合でも、なぜ違ったのかを分析することで、新しい示唆を得られます。

調査票・提示物・売り場条件を設計する

調査票、商品サンプル、パッケージ案、広告案、POP、棚割りなどを準備します。比較する案が多すぎると評価がぶれやすくなるため、検証したいポイントを絞ることが大切です。

試飲・試食では提供順や温度、パッケージ評価では提示方法、模擬店舗調査では棚の再現性や競合商品の選び方が結果に影響します。検証するための条件をそろえることで、調査結果の解釈もしやすくなります。

結果を分析し、施策に落とし込む

調査結果は、数値や発言を眺めるだけでは不十分です。どの要素が購入を後押しし、どの要素が妨げになったのかを整理し、商品改善、パッケージ修正、販促表現、棚割り提案などに落とし込みます。

たとえば「パッケージ評価が低い」という結果だけでは、何を直せばよいかわかりません。視認性が低いのか、訴求文言が伝わらないのか、競合より高く見えるのかを分解して落とし込むことで、具体的な改善につながります。

会場調査(CLT)やショッパーラボ(模擬店舗会場)を活用した検証の考え方

ショッパーインサイトを実務に活かすには、調査目的に応じて検証環境を選ぶことが重要です。製品やパッケージそのものを同じ条件で比較したい場合と、実際の売り場に近い環境での選ばれ方を見たい場合では、適した調査設計が異なります。

会場調査(CLT)は生活者の評価を効率よく集める調査設計として活用できる

会場調査(CLT)は、「生活者の反応を効率的に集める調査設計」として、たとえば、製品、パッケージ、広告、コンセプトなどを一定の条件下で評価し、複数案の比較や改善点の抽出に役立てます。重要なのは、評価条件をそろえ、調査目的に合った対象者から反応を得ることです。

ショッパーラボ(模擬店舗会場)は売り場に近い環境で選ばれ方を検証できる

日本インフォメーションが提供するショッパーラボ(模擬店舗会場)は、実際の店舗に近い空間で、買い物客がどのように商品を見つけ、比較し、選択するのかを確認する場として活用できます。棚割り、陳列位置、POP、パッケージ、競合商品との並び方などを検証したい場合に向いています。

商品単体の評価が高くても、売り場で目立たなければ選ばれにくくなります。反対に、商品特徴が明確に伝わる売り場設計ができれば、購入率を高められる可能性があります。ショッパーラボ(模擬店舗会場)は、こうした売り場での選ばれ方を具体的に検証するために役立ちます。


尚、ショッパーラボでは、使用用途別に「コンビニエンスストア」「ドラッグストア」の2バージョンにレイアウト変更が可能です。


会場調査(CLT)とショッパーラボ(模擬店舗会場)を組み合わせると仮説検証の精度が高まる

会場調査(CLT)で商品やパッケージそのものの評価を確認し、ショッパーラボ(模擬店舗会場)で売り場に置かれたときの見え方や選ばれ方を検証すると、より実務に近い示唆が得られます。

たとえば、CLTで「味の評価は高いがパッケージ評価は低い」とわかった場合、ショッパーラボ(模擬店舗会場)で棚に並べたときの視認性や競合との比較を確認できます。商品単体の評価と購買場面での行動を分けて見ることで、トータルで改善すべきポイントが明確になります。

ショッパーインサイト調査のメリット

ショッパーインサイト調査の価値は、買い物客の声や行動をもとに、商品や売り場の改善点を具体化できることです。勘や経験だけでは見えにくい購買判断の背景を把握することで、施策の説得力を高められます。

購買行動の背景を理解できる

購入したかどうかだけではなく、なぜ気づいたのか、なぜ比較したのか、なぜ選んだのかを把握できます。購入者だけでなく非購入者の理由を見ることで、売上改善のヒントが見つかります。

特に、商品評価は高いのに売上が伸びない場合、売り場での見え方や訴求内容に課題がある可能性があります。ショッパーインサイトは、そういった商品と売り場の間にある課題を発見する手がかりになります。

商品やパッケージの改善点が見つかる

パッケージの見え方、訴求文言の伝わり方、容量や価格の受け止められ方などを確認できます。発売前やリニューアル前に調査を行うことで、大きな失敗を避けやすくなります。

商品開発では、企業側が伝えたいことと、買い物客が受け取っていることがずれる場合があります。そのズレを早い段階で把握できれば、発売前に改善することができます。

小売商談や社内提案の根拠になる

ショッパーインサイト調査の結果は、小売業への棚割り提案や社内での企画提案にも活用できます。買い物客の行動や反応に基づくデータがあることで、施策の説得力が高まります。

たとえば、「このPOPの方が購入意向が高い」「この棚位置の方が視認されやすい」「競合商品と並べたときにこの訴求が有効」といった根拠があれば、提案内容が具体的になります。

広告・販促施策の改善に活かせる

広告やPOPの表現が、購買行動につながっているかを確認できます。認知や好意度だけでなく、売り場での行動や購入意向への影響を見ることで、次の施策改善に活かせます。

広告で興味を持たれても、店頭で価値が伝わらなければ購入につながりません。広告、パッケージ、売り場のメッセージがリンクして伝わっているかが重要です。

ショッパーインサイト調査のデメリットと注意点

ショッパーインサイト調査は有効な手法ですが、実施すれば必ず答えが出るわけではありません。調査目的、対象者条件、検証環境、分析の視点がずれていると、結果を施策に活かしにくくなります。

調査目的が曖昧だと示唆がぼやける

「何となく買い物客の声を聞きたい」という目的では、調査結果が散らばりやすくなります。どの意思決定に使うのかを事前に決めておくことで、設問や調査手法を適切に設計できます。

調査前には、「何を知りたいか」だけでなく「結果を使って何を決めるか」を整理しましょう。目的が明確であるほど、調査結果も具体的な施策に落とし込みやすくなります。

調査環境によって結果の解釈が変わる

会場調査(CLT)、インターネット調査、模擬店舗調査、ホームユーステスト(HUT)では、回答環境が異なります。同じ商品でも、評価条件が変われば結果も変わる可能性があります。

たとえば、会場では高く評価された商品でも、ホームユーステスト(HUT)などで自宅で継続使用すると不満が出ることがあります。反対に、自宅では評価が高くても、売り場では目立たず選ばれないこともあります。調査環境の特徴を理解して読み解くことが大切です。

回答データと実際の購買行動には差が出る場合がある

アンケートで「買いたい」と答えても、実際の売り場では競合商品を選ぶことがあります。言葉での回答と行動には差が出る場合があるため、必要に応じて購買データや行動観察と組み合わせることが有効です。

特に価格、陳列、競合商品、キャンペーンなどは、実際の購買場面で大きな影響を与えます。購入意向だけで判断せず、実際の買い物場面での行動も確認しましょう。

調査結果を施策に落とし込む視点が必要

調査結果は、商品、売り場、広告、販促、ブランド戦略に落とし込んで初めて価値を持ちます。数値の高低だけで判断せず、どの要素を変えれば購買行動が変わるのかを考える必要があります。

調査後は、改善すべき要素を優先順位づけし、実行可能な施策に落とし込みます。すべてを一度に変えるのではなく、影響が大きいポイントから着手し、変更後の評価を読み取りながら改善していくことが現実的です。

向いているケース・向いていないケース

ショッパーインサイト調査は、商品や売り場の改善に向けて具体的な意思決定をしたいケースに向いています。一方で、目的や活用先が曖昧なまま実施すると、調査結果を使いきれない可能性があります。

向いているのは商品改善や販促改善の意思決定をしたい企業

新商品開発、商品リニューアル、パッケージ刷新、棚割り提案、POP改善、広告効果検証など、具体的な判断が必要な企業に向いています。社内外への提案に客観的な根拠を持たせたい場合にも有効です。

特に、売上が伸び悩んでいる理由を探りたい企業、競合商品に負けている理由を知りたい企業、売り場での訴求力を高めたい企業には、ショッパーインサイト調査が役立ちます。

向いていないのは調査目的や活用先が決まっていないケース

調査結果を何に使うか決まっていない場合、集めたデータが活かされないことがあります。まずは「どの施策を判断するための調査か」を明確にし、必要に応じて調査会社に相談することが大切です。

売場での見え方以前のパッケージそのものの単体の評価などでは、ショッパーインサイト調査よりも会場調査(CLT)が適切です。

また、調査を実施すること自体が目的になってしまうと、結果を見ても次のアクションにつながりません。調査は、意思決定や改善のための手段として位置づけましょう。

初めてなら小さな検証から始めるのがおすすめ

初めてショッパーインサイト調査を行う場合は、いきなり大規模な調査を行うよりも、小さなテーマから始めると取り組みやすくなります。

たとえば、パッケージ案の比較、POP案の比較、既存商品の購入阻害要因の確認、競合商品との見え方の違いなどです。小さな検証で得た示唆をもとに、そこからさらに検証すべき仮説を探り出し、必要に応じて調査範囲を広げるとよいでしょう。

ショッパーインサイトに関するFAQ

ショッパーインサイトは、商品開発、販促、広告、ブランド戦略など幅広い領域に関わるため、初めて検討する担当者ほど疑問が出やすいテーマです。調査前によくある質問を簡潔に整理します。

よくある質問

Q.

ショッパーインサイトと消費者インサイトの違いは何ですか?

消費者インサイトは商品を「使う人の気持ちや不満」に注目する考え方です。一方、ショッパーインサイトは「商品を買う場面での心理や行動」に注目します。使いたい商品でも、売り場で見つけにくい、価格が高く感じる、競合に負けるといった理由で買われないことがあります。

Q.

POSデータだけでは不十分ですか?

POSデータは売れた結果を把握するのに有効ですが、なぜ買わなかったのか、棚前で迷ったのか、競合を選んだ理由といった売場における要因までは見えにくいです。ショッパーインサイト調査を組み合わせることで、購買データの背景を補えます。

Q.

ECサイトでもショッパーインサイトは使えますか?

使えます。ECでは、商品画像、価格、レビュー、検索結果、比較画面、カート離脱などが購入判断に影響します。実際にECサイトで買い物する様子を観察し、店頭とは異なる購買接点を整理し、どこで迷いや離脱が起きているかを確認することが重要です。

Q.

調査にはどのくらいの期間がかかりますか?

調査期間は、手法、対象者条件、サンプル数、調査内容によって変わります。簡易なアンケートは比較的短期間で実施できますが、CLT、HUT、模擬店舗調査、インタビューを組み合わせる場合は、設計や準備期間も含めて余裕を持つ必要があります。

Q.

調査会社に相談する前に何を準備すればよいですか?

調査目的、対象商品、知りたいこと、比較したい案、想定ターゲット、利用したい施策、希望時期を整理しておくと相談がスムーズです。まだ明確でない場合でも、「何に迷っているのか」を言語化しておくと、適した調査手法を提案してもらいやすくなります。

買われる理由を知れば、商品と売り場はもっと強くなる

ショッパーインサイトは、買い物客が商品を選ぶ瞬間に何を見て、何に迷い、何に背中を押されるのかを理解するための重要な視点です。新商品開発、商品リニューアル、パッケージ改善、販促施策、ブランド評価に活かすには、自社の課題に合った調査手法を選ぶことが欠かせません。

まずは、現在の課題が「商品そのものの評価」なのか、「売り場での見え方」なのか、「購買理由の深掘り」なのかを整理してみましょう。製品やパッケージの評価には会場調査(CLT)やホームユーステスト(HUT)、売り場での選ばれ方の検証にはショッパーラボ(模擬店舗会場)でのショッパーインサイト調査、理由の深掘りにはインタビュー調査が有効です。 自社の商品がなぜ選ばれ、なぜ選ばれないのかを知ることは、次の企画や施策を強くする第一歩です。資料ダウンロードやセミナー、調査会社への相談を活用しながら、自社の課題に合う検証方法を具体化していきましょう。

執筆者プロフィール

監修:斎藤啓太

日本インフォメーション株式会社 代表取締役社長
日本マーケティング・リサーチ協会 理事 
情報経営イノベーション専門職大学【iU】 客員教授

プロフィール
損害保険ジャパンでの法人営業を経て、大手マーケティングリサーチ会社に入社。多くのオフライン調査の実査現場を担当した後、リサーチャーとして主に自動車(耐久消費財)領域の調査企画から分析まで一貫して従事。生活者のリアルなインサイト抽出に強みを持つ。 
2010年に当社へ参画後は、食品・飲料・化粧品・トイレタリーなど消費財メーカーのマーケティングリサーチを多数支援。新規顧客の開拓をはじめ、社内における新たなリサーチ手法やデータ分析メソッドの確立を牽引。2019年に代表取締役社長へ就任後も、リサーチ実務の第一線に立ち続け、多数の社内外マーケティングセミナーに登壇。2021年より日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)理事を務めるほか、iU情報経営イノベーション専門職大学の客員教授としてデータサイエンスやマーケティングリサーチの講義を行うなど、実務と学術の両面からマーケティングやリサーチ業界の発展に尽力している。

発信実績
登壇セミナー:顧客理解の深化がブランドを育てる リサーチ×コミュニティから始めるCEP設計AI・UGC・アンケート・リサーチで探る真相心理顧客がどう”売上”に貢献するか? 熱狂的ファンと実現する共創マーケティングのはじめ方 、​ベテランリサーチャーがおすすめする「読むべき本 2023」デジタルトランスフォーメーションやコロナで変わるマーケティングリサーチの事例ご紹介 など

執筆:日本インフォメーション 広報

プロフィール
1969年創業、50年以上の実績を持つマーケティングリサーチ会社。食品・化粧品などの日用消費財メーカーから金融機関・学術機関まで幅広い業界のリサーチ課題に対応し、企画設計から分析・報告まで一貫してサポート。特にオフライン調査の年間実施件数は業界トップクラスを誇る。蓄積されたノウハウを活かし、無料調査レポートやセミナーを通じて実務に役立つ情報を発信している。

発信実績
無料調査レポート:レポート執筆90件突破
セミナー:累計参加者数4,000人超