会場調査(CLT)では、対象者を会場に集め、商品・広告・パッケージなどを実際に体験してもらい、評価や反応を収集します。正確な調査結果を得るには、受付、待機、試用、回答、退出までの導線を整理し、参加者同士の接触や呈示物の見え方によるバイアスを防ぐことが重要です。この記事では、CLTの会場レイアウトの作り方、設営時の注意点、模擬店舗会場を使った購買行動観察調査までわかりやすく解説します。
目次
会場調査(CLT)とは?同じ条件で生活者の反応を集める調査手法
CLTとは、Central Location Testの略で、あらかじめ用意した会場に対象者を集め、商品や広告などを評価してもらう調査手法です。新商品開発や商品リニューアル、広告・パッケージ評価などで活用され、同じ条件下で生活者の反応を確認できる点が特徴です。
CLTは会場に対象者を集めて評価を得る調査
CLTは、指定した会場で対象者に商品・広告・パッケージなどを提示し、その場で評価を得る調査です。食品の試食、飲料の試飲、化粧品や日用品の試用、広告案の評価などに使われます。
市場調査でよく利用されるインターネットリサーチでは、商品の説明文やパッケージ画像など、資料を見て評価することが一般的です。一方、CLTでは実物を見たり、触れたり、食べたり、使ったりした直後の反応を収集できます。そのため、生活者の感覚に近い評価を得やすい調査手法といえます。
会場調査でわかることは「体験後の評価」と「その場の反応」
会場調査では、アンケート回答だけでなく、対象者が商品を手に取ったときの表情、迷い、使い方、比較の様子なども観察できます。
たとえば、パッケージ調査では「好印象だった」という回答だけでなく、棚の中でどの商品に先に目が向いたか、どの表示を確認したか、手に取るまでにどのくらい迷ったかを見ることもできます。言葉としての評価と、行動として表れた反応を組み合わせることで、商品改善や販促施策に役立つ示唆を得られます。
会場調査が使われる主な場面
会場調査は、以下のような場面で活用されます。
- 新商品の味・香り・使い心地を確認したい
- 既存商品とリニューアル案を比較したい
- パッケージデザインの印象を評価したい
- 広告や販促物の理解度を確認したい
- 店頭での商品選択行動を観察したい
- 未発売商品の反応、機密性を保ちながら確認したい
特に、食品・飲料・化粧品・日用品・広告・パッケージのように、実物を体験したうえで評価してもらう必要がある商材と相性のよい調査です。
CLTで会場レイアウトが重要になる理由
CLTでは、対象者が同じ環境下で商品や情報に触れることが重要です。そのため、会場レイアウトは単なる座席配置ではなく、調査結果の信頼性を左右する設計要素になります。導線や見え方に配慮することで、余計なバイアスを抑えられます。
レイアウトは回答の公平性に影響する
CLTの会場レイアウトは、対象者がどの順番で何を見て、どの環境で回答するかを決めます。入口から商品や回答席が見えてしまうと、対象者は調査前から内容を推測してしまう可能性があります。
たとえば、待機中に他の対象者が試食している様子が見えたり、回答画面が見えたりすると「次はこの商品について聞かれるのだろう」という先入観が生まれ、評価に影響することがあります。公平な評価を得るには、参加者全員ができるだけ同じ条件で調査に入れる配置が必要です。
導線と私語管理が、調査結果のバイアスを防ぐ
受付、待機、試用、回答、退出の導線が整理されていないと、参加者同士が接触する機会が生まれやすくなります。CLTでは、会場内での私語や情報共有が結果に直接影響するため、導線設計と合わせて会場内のルールを徹底することが重要です。
調査を終えた参加者が「この商品がおいしかった」「あの広告がわかりにくかった」とこれから調査を受ける対象者に話してしまうと、回答に先入観を与えるおそれがあります。そのため、会場内では私語厳禁を原則とし、スタッフが常に目を配れる配置にしておくことが求められます。
導線設計は、会場運営をスムーズにするだけでなく、調査品質を守るための重要な要素です。
試食・試飲・パッケージ評価では環境条件の統一が欠かせない
試食や試飲では、温度、量、提供タイミング、容器、においなどが評価に影響します。化粧品や日用品のパッケージ評価では、照明のあたり方によって色味や質感の見え方が変わり、印象評価に影響することがあります。特に複数案を比べて評価したいときは、同じ照明条件で評価できるよう統一しておくことが重要です。
商品そのものを評価しているつもりでも、実際には「冷めていた」「照明が暗かった」「隣の人の反応が気になった」といった環境要因が回答に影響することがあります。会場設営では、商品以外の環境条件をできるだけそろえることが大切です。
CLT会場レイアウトの基本構成
CLT会場は、受付、待機、呈示・試用、回答、退出の流れを分けて設計するのが基本です。対象者がスムーズに移動でき、かつ調査内容が事前に見えないようにすることで、スムーズな進行とバイアス対策を両立できます。
受付スペース|対象者確認と案内をスムーズに行う
受付スペースでは、対象者の本人確認、条件確認、同意取得、調査番号の付与などを行います。入口付近に設置する一方で、調査対象物や回答席が見えない配置にすることが重要です。
受付で調査内容を詳しく伝えすぎると、回答に先入観が生まれる場合があります。そのため、説明は必要最小限にとどめ、調査の目的や評価対象が過度に伝わらないよう配慮します。特にブラインドテストを行う場合は、ブランド名や商品特徴が見えない設計が必要です。
待機スペース|調査内容が見えない配置にする
待機スペースは、対象者が調査開始まで過ごす場所です。ここで他の参加者の回答や提示物が見えると、先入観が生まれる可能性があります。
パーテーションや別室を使い、調査対象物や回答画面が見えないように設計します。また、待機中の参加者同士の会話を避けるため、案内文やスタッフの声かけも重要です。静かに待機できる環境を作ることで、調査前の余計な情報接触を防げます。
呈示スペース|条件をそろえて商品を見てもらう
呈示スペースでは、商品・広告・パッケージなどを対象者に提示します。広告なら提示時間、パッケージなら照明や距離をそろえることが基本です。
複数案を比較する場合は、呈示順による影響にも注意が必要です。たとえばA案、B案、C案を全員が同じ順番で見ると、最初に見たものが基準になったり、最後に見たものが印象に残りやすくなったりします。調査設計に応じて呈示順を入れ替えるなど、順序効果を抑える工夫が求められます。
試用・回答スペース|自分の感覚で評価できる環境を作る
試用スペースでは、試食・試飲を通じて商品を体験してもらいます。提供する温度や量、器や容器の種類、試食のタイミングなど、参加者全員が同じ条件で体験できるよう管理することが重要です。口直し用の水や中性的な食品(クラッカーなど)を用意するなど、前の試食が次の評価に影響しないよう配慮することも必要です。
回答スペースでは、隣の回答が見えない距離を確保し、必要に応じて仕切りを設けます。スタッフが近すぎると「期待に沿った回答をしたい」という心理が働くことがあるため、サポートできる距離を保ちながらも、対象者が自分の感覚で回答できる環境づくりが重要です。
退出導線|参加者同士の情報共有を防ぐ
退出導線は、これから調査を受ける対象者と、調査を終えた対象者が接触しにくいように設計します。調査内容や商品名を共有されると、後続の回答に影響が出る可能性があります。
理想的には、受付導線と退出導線を分ける、時間差で案内する、謝礼渡しの場所を待機スペースから離すなどの工夫を行います。小さな会場では完全に分けられないこともありますが、その場合もスタッフ配置や案内順で接触を最小限に抑えます。
バイアスを防ぐ会場設営のポイント
バイアスとは、調査結果に偏りを生じさせる要因のことです。CLTでは、会場の見え方、調査員の説明、参加者同士の接触、呈示順などがバイアスの原因になります。正確な評価を得るには、設営段階から偏りを防ぐ視点が必要です。
入口から呈示物や回答席が見えないようにする
会場に入った瞬間に商品や広告が見えると、対象者は調査前から内容を推測してしまいます。入口から回答席や呈示物が見えない配置にし、必要に応じてパーテーションを使います。
特に、複数商品の比較調査やブラインドテストでは、事前に商品名やパッケージが見えるだけでも結果に影響することがあります。調査対象物は、対象者が評価するタイミングまで見せないことが基本です。
パーテーションや距離で参加者同士の影響を減らす
対象者同士の表情や回答が見えると、自分の評価を変えてしまうことがあります。特に好意度や購入意向のような主観的評価では、周囲の雰囲気に影響されやすくなります。
座席間の距離を確保する、パーテーションを設置する、時間差で案内するなど、個別に評価できる環境を整えましょう。
呈示順・試用順を管理して順序効果を抑える
複数の商品や広告案を評価する場合、最初に見たものが基準になったり、後に見たものが印象に残りやすくなったりします。これを順序効果と呼びます。
順序効果を抑えるには、呈示順を対象者ごとに入れ替える、調査票で順番を管理する、試用品に記号を付けてブランド名を伏せるなどの方法があります。比較評価では、呈示順を参加者全体で均等になるよう設計することが基本です。さらに可能であれば、年代や性別などの属性グループ間でも呈示順が均等になるよう配慮すると、より精度の高い比較が可能になります。
調査員の説明を統一し、誘導的な表現を避ける
調査員の言い方によって、対象者の回答が変わることがあります。たとえば「召し上がってみてください」と「新しく改良した商品ですので召し上がってみてください」では、後者は評価前に「改良されているはずだ」という期待感を与えてしまいます。
調査員の説明文は事前に統一し、誰が案内しても同じ内容になるようにします。また、質問を受けた場合の回答ルールも決めておくと安心です。調査員の表情や反応も対象者に影響するため、必要以上にうなずいたり、評価を促したりしないことが大切です。
調査内容別に見るCLT会場レイアウトの考え方
CLTの会場レイアウトは、調査対象によって変わります。試食・試飲、化粧品や日用品の試用、広告・パッケージ評価、模擬店舗での購買行動観察では、必要な設備や導線が異なります。目的に合わせた設営が重要です。
試食・試飲調査|温度・量・提供順をそろえる
試食・試飲調査では、味や香り、食感を公平に評価してもらうため、提供条件の統一が欠かせません。温度、量、容器、試食順、口直しの水などをそろえます。
たとえば、温かい食品が一部の対象者には適温で提供され、別の対象者には冷めた状態で提供された場合、評価差が商品そのものによるものか、提供条件によるものか判断しにくくなります。調理スペースと回答スペースを分けることで、においや調理音の影響も抑えやすくなります。
化粧品・日用品の試用調査|洗面・鏡・手元確認の導線を用意する
化粧品や日用品では、使用前後の確認、洗い流し、手元の動作、鏡での見え方などが評価に関わります。洗面台、鏡、照明、タオル、廃棄物処理の導線を整える必要があります。
スキンケア用品やメイク用品では、照明の色や明るさによって見え方が変わることもあります。洗剤や清掃用品では、実際に使う場所に近い環境を再現することが重要です。対象者が落ち着いて試用できるスペースを確保することで、より具体的な評価を得やすくなります。
広告・パッケージ評価|呈示物の見え方と照明を統一する
広告やパッケージ評価では、表示サイズ、提示時間、距離、照明によって印象が変わります。ポスター、動画、店頭POP、パッケージなど、実際に使われる場面に近い形で呈示することが望まれます。
ただし、特定案だけが目立つ配置にならないよう注意が必要です。複数案を比較する場合は、同じサイズ・同じ距離・同じ明るさで見せることが基本です。パッケージの色味や質感を評価する場合は、照明条件もできるだけ統一します。
模擬店舗会場の購買行動観察|棚前行動や視線を観察する
模擬店舗会場を使うと、対象者が棚の前でどの商品に目を向け、どの順番で比較し、どこで迷うのかを観察できます。パッケージ、価格、陳列位置、POPの影響を検証しやすい方法です。
アンケートでは「この商品を買いたい」と回答していても、実際に棚の前に立つと別の商品を選ぶことがあります。模擬店舗会場では、言葉だけでは見えにくい購買行動を確認できるため、商品開発や売場改善に役立ちます。
さらに、アイトラッキングデバイスを着用した状態で模擬店舗内を回遊してもらうと、どの棚・どの商品に視線が集まったか、どの順番で注目したかを定量的に把握できます。商品陳列の最適化や店舗動線の改善に役立つデータとして活用しやすくなります。

参考情報:アイトラッキングとは?メリット・デメリットを解説|日本インフォメーション
模擬店舗会場を使った購買行動観察調査とは

模擬店舗会場とは、実際の売場に近い環境を会場内に再現し、対象者の購買行動や商品選択の様子を観察する調査空間です。商品開発だけでなく、パッケージ改善、棚割り、販促物、価格表示の検証にも活用できます。
模擬店舗会場は実際の売場に近い環境を再現する調査空間
模擬店舗会場では、陳列棚、商品パッケージ、価格表示、POP、照明、通路幅などを再現し、対象者に買い物に近い行動をしてもらいます。
通常のCLTでは調査対象カテゴリーの棚のみを再現することが多いため、実際の店舗のように他カテゴリーの商品が並ぶ環境とは異なります。一方、模擬店舗会場では他カテゴリーの商品も並べた環境で、棚の前で比較・選択する行動を観察できるため、実際の売場で起こりやすい迷いや選択プロセスをより把握しやすくなります。
陳列棚・POP・価格表示で購買場面を再現できる
商品は単体で評価されるだけでなく、売場の中で比較されます。模擬店舗では、競合商品と並べたときの見つけやすさ、価格表示の印象、POPの訴求力、棚位置の影響などを確認できます。
たとえば、パッケージ単体では好印象でも、競合商品と並ぶと目立たない場合があります。反対に、広告では伝わりにくかった特徴が、POPや棚帯によって理解されやすくなることもあります。売場全体の中で商品がどう見えるかを確認できる点が、模擬店舗会場の強みです。
実店舗では難しい条件での検証が可能になる
実店舗での観察調査は、実際の買い物客がいる環境での実施となるので、調査員の配置や対象者への声かけに制約が生じます。また、上市前のテスト品や試作パッケージを実際の棚に並べることもできないことが多いです。
模擬店舗会場では、こうした制約がなく、発売前の商品を競合と並べた状態で検証したり、棚割りや陳列位置を自由に変えて比較したりすることができます。実店舗では実現しにくい条件での購買行動を確認できる点が、模擬店舗会場を活用する大きな理由のひとつです。
模擬店舗調査で注意したいリアリティと再現性
模擬店舗は便利な一方、実際の店舗と完全に同じ環境ではありません。来店目的、混雑、同伴者、時間帯、店舗の雰囲気などは再現しきれない場合があります。
そのため、調査結果を読む際は「会場内で再現した条件下での行動」として解釈することが重要です。実店舗での売上予測として過度に断定するのではなく、商品選択や売場改善のヒントとして活用する姿勢が求められます。
参考情報:日本インフォメーションのNI Shopper Lab.(模擬店舗会場)
参考情報:調査設計パッケージシリーズ(模擬店舗会場調査) | 日本インフォメーション
CLT会場設営の具体的な手順
CLTの設営は、会場を借りて商品を並べるだけではありません。調査目的、対象者条件、必要設備、スタッフ配置、導線、リハーサルまでを順番に整理することで、当日の混乱を防ぎ、調査品質を高めることができます。
調査目的と評価対象を決める
最初に、何を明らかにしたいのかを明確にします。味の評価、購入意向、パッケージの視認性、広告理解、売場での選ばれ方など、目的によって会場レイアウトは変わります。
たとえば、味の評価が目的なら、試食条件の統一が重要です。パッケージの視認性が目的なら、棚に並べたときの見え方を再現する必要があります。評価対象と評価指標を決めてから、必要な設営を逆算しましょう。
対象者条件とサンプル数を設計する
次に、誰に調査するのかを決めます。年齢、性別、居住地、購入経験、使用頻度、ブランド認知などの条件を整理し、必要なサンプル数を設定します。
対象者の人数が増えるほど、待機スペースやスタッフ数、調査時間の設計も重要になります。1人あたりの調査時間、同時に案内できる人数、回転数を考えながら、会場の広さや部屋数を決める必要があります。
会場条件と必要設備を洗い出す
調査内容に合わせて、会場の広さ、部屋数、電源、照明、給排水、冷蔵・加熱設備、通信環境、搬入経路などを確認します。
食品調査なら衛生管理、化粧品調査なら洗面設備、模擬店舗調査なら陳列棚や撮影・観察環境の確認が必要です。会場を選ぶ段階で必要設備を洗い出しておくと、当日の設営トラブルを防ぎやすくなります。
当日の導線とスタッフ配置を決める
受付、待機、試用、回答、謝礼渡し、退出までの流れを図に落とし込みます。各ポイントに必要なスタッフを配置し、対象者が迷わず進めるようにします。
スタッフの立ち位置も重要です。対象者に圧迫感を与えない距離を保ちながら、困ったときにはすぐ対応できる配置にします。また、受付担当、案内担当、提示担当、回答サポート担当など、役割を分けておくと進行が安定します。
リハーサルで時間・見え方・安全性を確認する
本番前には、実際の流れに沿ってリハーサルを行います。受付に時間がかかりすぎないか、提示物が見えすぎていないか、試用品の提供順に混乱がないか、安全面に問題がないかを確認します。
特に調理を伴う試食では、食材を切る大きさや調理手順、提供タイミングなどを細かくマニュアル化しておくことが重要です。担当スタッフによって仕上がりや提供量にばらつきが出ると、評価条件の統一が崩れてしまいます。リハーサルでマニュアル通りに再現できるかを事前に確認しておきましょう。
設営図だけでは、対象者目線の見え方や移動しにくさに気づけないことがあります。スタッフが対象者役になって動いてみることで、当日のトラブルを事前に減らせます。
CLTのメリット・デメリット
CLTは、生活者のリアルな反応を同一条件で集めやすい一方、会場費や設営負担がかかる調査手法です。メリットとデメリットを理解することで、自社の課題に合う調査かどうかを判断しやすくなります。
メリット|同一条件でリアルな反応を取得できる
まず、「何を判断するための調査か」を決めましょう。
CLTの大きなメリットは、対象者が同じ会場、同じ条件で商品や広告を体験できることです。温度、提示時間、照明、説明内容などを統一しやすいため、比較評価に向いています。
実物に触れた直後の反応を得られる点も強みです。商品を見た瞬間の印象、口に入れたときの感覚、使用直後の違和感など、時間が経つと忘れられやすい反応を収集できます。
メリット|未発売商品や機密性の高い商材にも使いやすい
CLTは、会場内で調査を完結できるため、未発売商品や開発中の広告、パッケージ案などを扱いやすい方法です。対象物を外部に持ち出させず、調査終了後に回収できるため、情報管理の面でもメリットがあります。
また、調査対象物を統一して管理できるため、対象者ごとに異なる状態で商品が届くといったリスクも抑えられます。発売前の商品評価や競合比較を行う際に有効です。
デメリット|会場費・設営費・運営負担がかかる
会場調査では、会場費、設営費、スタッフ費、対象者謝礼、機材費などが発生します。オンライン調査に比べると、準備や運営の負担は大きくなります。
そのため、調査目的に対してCLTを選ぶ意味があるかを事前に確認することが重要です。単に好意度や認知度を聞くだけであれば、オンライン調査で十分な場合もあります。実物体験や会場観察が必要かどうかを判断しましょう。
デメリット|日常利用の文脈とは差が出る場合がある
CLTは条件を統一しやすい反面、対象者の自宅や実際の店舗とは異なる環境で行われます。長期使用後の満足度や、家庭内での使われ方を知りたい場合は、CLTだけでは不十分なことがあります。
たとえば、洗剤やスキンケア用品、食品の継続使用評価では、家庭の環境や家族の反応も重要です。このような場合は、対象者の自宅で一定期間使用してもらうHUTを組み合わせると、より実態に近い情報を得やすくなります。
CLTが向いている調査・向いていない調査
CLTは万能な調査ではありません。商品の特性や知りたい内容によって、CLTが向いている場合と、HUTやオンライン調査のほうが適している場合があります。調査手法を選ぶ際は、目的との相性を見極めることが大切です。
向いている調査|五感・実物・比較評価が重要な商品
味、香り、手触り、使い心地、見た目など、実物を体験しないと評価しにくい商品はCLTに向いています。食品、飲料、化粧品、日用品、小型家電、パッケージ、広告素材などは、会場で実物を提示することで具体的な反応を得やすくなります。
特に複数案を比較する調査では、同じ条件で一度に評価できるCLTの強みが生きます。商品Aと商品Bの差を確認したい場合や、リニューアル前後の評価を比較したい場合に適しています。
向いている調査|広告・パッケージ・売場づくりの検証
CLTは、広告案やパッケージ案、陳列棚、POPなどの比較評価にも向いています。模擬店舗会場を活用すれば、商品単体の評価だけでなく、売場の中で見つけてもらえるか、手に取ってもらえるかまで確認できます。
新商品発売前やパッケージ変更前に、生活者がどの要素に反応するのかを把握しておくことで、販促施策や店頭展開の改善につなげやすくなります。
向いていない調査|長期使用後の変化を知りたい調査
数日〜数週間使った後の満足度、家庭内での使われ方、習慣化のしやすさなどを知りたい場合は、CLTだけでは不十分なことがあります。
会場では好印象でも、実際に自宅で使うと収納しにくい、家族に受け入れられない、使い続けるうちに不満が出るといったケースもあります。この場合は、HUTや日記調査、インタビュー調査などを検討するとよいでしょう。
参考情報:日本インフォメーションのホームユーステスト(HUT)
HUTやオンライン調査と組み合わせる判断基準
CLTは短時間で同一条件の反応を得たいときに有効です。一方、HUTは日常利用の実態、オンライン調査は大規模な意識把握に向いています。
商品開発では、オンライン調査で仮説を広く確認し、CLTで実物評価を行い、HUTで継続使用を検証する流れも考えられます。ひとつの調査手法だけで判断するのではなく、知りたいことに応じて手法を組み合わせることが重要です。
調査会社に相談する前に確認したいこと

CLTを調査会社に依頼する場合は、会場や対象者の手配だけでなく、レイアウト設計、設営、バイアス対策、当日運営までの対応範囲を確認することが大切です。相談前に確認項目を整理しておくと、依頼内容が明確になります。
会場レイアウト案をどこまで作成してもらえるか
調査会社によって、会場レイアウトの提案範囲は異なります。受付、待機、試用、回答、退出の導線まで設計してもらえるのか、クライアント側で会場を用意する場合も助言を受けられるのかを確認しましょう。
特に初めてCLTを実施する場合、会場の広さや部屋数だけでは適切な判断が難しいことがあります。調査目的に合わせて、どのような会場設計が必要か相談できる会社を選ぶと安心です。
日本インフォメーションでは、調査内容に応じて最適な会場レイアウトを提案しています。導線設計からスペース配置、当日の運営フローまで、調査品質を守る視点で一緒に設計します。
模擬店舗・陳列棚・試食設備に対応できるか
模擬店舗調査や試食・試飲調査では、通常の会議室以上の設備が必要になる場合があります。陳列棚、冷蔵・加熱設備、給排水、撮影機材、観察スペースなど、調査内容に合わせた設備対応が可能かを確認することが大切です。
また、模擬店舗会場を使う場合は、どこまで実際の売場に近づけられるかも重要です。棚割り、価格表示、POP、競合商品の配置など、再現したい条件を事前に整理しておきましょう。
日本インフォメーションでは、模擬店舗会場を1会場、試食・試飲調査に対応した調査会場を5会場自社保有しています。外部会場の手配が不要なため、会場費・設備費を抑えたコストメリットを実現しながら、設備面の不安なく調査に臨むことができます。
参考情報:日本インフォメーションの調査会場のご案内
対象者リクルーティングと当日運営を依頼できるか
CLTでは、対象者条件に合うモニターを集めるリクルーティングと、当日の受付・案内・進行管理が重要です。対象者の条件確認、欠席時の対応、謝礼管理、スタッフ配置まで依頼できるかを確認すると安心です。
対象者の条件が調査目的とずれていると、どれだけ会場設営が整っていても、有効な結果を得にくくなります。事前スクリーニングの方法や、対象者条件の確認フローも確認しておきましょう。
バイアス対策や品質管理の考え方を確認する
調査結果の信頼性を高めるには、会場設営だけでなく、説明文、呈示順、調査員教育、データ確認などの品質管理が必要です。どのようなバイアス対策を行っているか、過去の実施経験があるかを確認しましょう。
具体的には、入口から呈示物が見えない設計、参加者同士の接触防止、呈示順の管理、調査員トークの統一、回答データのチェック体制などを確認します。調査会社の品質管理の考え方は、CLTの成果に大きく関わります。
CLT会場レイアウト・設営に関するFAQ
CLTの会場レイアウトや設営を検討するときは、会場選び、調査会社への依頼範囲、模擬店舗の必要性、HUTとの違いなど、細かな疑問が出てきます。よくある質問を整理し、判断の手がかりをまとめます。
Q.
CLTの会場はどのような場所を選べばよいですか?
A.
対象者が来場しやすい立地で、受付、待機、試用、回答、退出のスペースを分けられる会場が適しています。食品調査なら衛生管理や給排水、模擬店舗調査なら陳列棚や観察スペースを設置できるかも確認しましょう。単に広い会場を選ぶのではなく、調査対象物が事前に見えないか、対象者同士が接触しにくいか、スタッフが運営しやすいかを確認することが大切です。
Q.
会場レイアウトは調査会社に任せてもよいですか?
A.
基本的には調査会社に相談できます。ただし、調査目的や評価したいポイントを依頼側が明確にしておくことが大切です。「味の違いを知りたい」のか、「パッケージの視認性を知りたい」のか、「売場で選ばれるかを見たい」のかによって、最適なレイアウトは変わります。目的を共有したうえで、専門会社に設計してもらうとよいでしょう。
Q.
模擬店舗会場を使うと何がわかりますか?
A.
模擬店舗会場では、商品が棚の中で見つけられるか、手に取られるか、競合商品とどう比較されるかを確認できます。パッケージ、価格、POP、陳列位置など、実際の購買場面に近い条件で検証できます。アンケートでは把握しにくい、迷い方や視線の向き、手に取る順番なども観察できるため、店頭施策の改善に役立ちます。
Q.
CLTとHUTはどちらを選ぶべきですか?
A.
短時間で同一環境下での評価を得たい場合はCLT、家庭での長期使用感や日常的な使われ方を知りたい場合はHUTが向いています。たとえば、味やパッケージの第一印象を比較したいならCLTが適しています。一方、洗剤や化粧品のように数日使って評価が変わる商品は、HUTも検討するとよいでしょう。商品特性によっては、CLTとHUTを組み合わせる方法もあります。
Q.
会場設営で最も注意すべきことは何ですか?
A.
最も重要なのは、調査結果に余計なバイアスが入らないようにすることです。入口から呈示物が見えない、参加者同士が影響し合わない、呈示順を管理する、調査員の説明を統一するなどの工夫が必要です。CLTでは、会場環境そのものが回答に影響することがあります。調査したい対象以外の要因をできるだけそろえることが、信頼性の高いデータ取得につながります。
正しく設計された会場が、生活者の本音を引き出す
会場調査は、生活者が商品や広告に触れた瞬間の反応を把握できる有効な調査手法です。しかし、その価値を十分に引き出すには、会場レイアウトや設営の精度が欠かせません。
受付、待機、試用、回答、退出の導線を整え、バイアスのかからない環境を作ることで、より信頼性の高いデータが得られます。また、模擬店舗会場を活用すれば、アンケートだけでは見えにくい購買行動や棚前での迷いも把握できます。
新商品開発やパッケージ改善、広告評価、売場づくりを検討している場合は、まず調査目的と知りたいことを整理し、自社に合ったCLTの進め方を検討してみましょう。必要に応じて、会場設営や対象者リクルーティングに対応できる調査会社へ相談することで、より実務に活かしやすい調査設計につながります。
執筆者プロフィール

監修:斎藤啓太
日本インフォメーション株式会社 代表取締役社長
日本マーケティング・リサーチ協会 理事
情報経営イノベーション専門職大学【iU】 客員教授
プロフィール
損害保険ジャパンでの法人営業を経て、大手マーケティングリサーチ会社に入社。多くのオフライン調査の実査現場を担当した後、リサーチャーとして主に自動車(耐久消費財)領域の調査企画から分析まで一貫して従事。生活者のリアルなインサイト抽出に強みを持つ。
2010年に当社へ参画後は、食品・飲料・化粧品・トイレタリーなど消費財メーカーのマーケティングリサーチを多数支援。新規顧客の開拓をはじめ、社内における新たなリサーチ手法やデータ分析メソッドの確立を牽引。2019年に代表取締役社長へ就任後も、リサーチ実務の第一線に立ち続け、多数の社内外マーケティングセミナーに登壇。2021年より日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)理事を務めるほか、iU情報経営イノベーション専門職大学の客員教授としてデータサイエンスやマーケティングリサーチの講義を行うなど、実務と学術の両面からマーケティングやリサーチ業界の発展に尽力している。
発信実績
登壇セミナー:顧客理解の深化がブランドを育てる リサーチ×コミュニティから始めるCEP設計、AI・UGC・アンケート・リサーチで探る真相心理、顧客がどう”売上”に貢献するか? 熱狂的ファンと実現する共創マーケティングのはじめ方 、ベテランリサーチャーがおすすめする「読むべき本 2023」、デジタルトランスフォーメーションやコロナで変わるマーケティングリサーチの事例ご紹介 など

執筆:日本インフォメーション 広報
プロフィール
1969年創業、50年以上の実績を持つマーケティングリサーチ会社。食品・化粧品などの日用消費財メーカーから金融機関・学術機関まで幅広い業界のリサーチ課題に対応し、企画設計から分析・報告まで一貫してサポート。特にオフライン調査の年間実施件数は業界トップクラスを誇る。蓄積されたノウハウを活かし、無料調査レポートやセミナーを通じて実務に役立つ情報を発信している。
発信実績
無料調査レポート:レポート執筆90件突破
セミナー:累計参加者数4,000人超