2022/02/04
執筆者: フィールドワーク管理部 フィールドワークグループ グループリーダー Y.M
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
2022年、日本インフォメーションでは、コンビニ/ドラッグストアを再現した模擬店舗会場、「NI Shopper Lab.」を開設することになりました。
昨年から実査運営部門として、この模擬店舗会場の開設に向けて携わってきましたので、準備、企画から実際の設営までに感じたことや、これから期待できることについて、コラムを書かせていただこうと思います。
会場の詳しい説明は下記リンク先もご覧ください。
https://www.n-info.co.jp/service/nishopperlab./
模擬店舗の開設には、店舗の広さのスペースと各種什器、膨大な量の商品の数が必要です。
コストももちろんですが、その準備や手配などに時間も労力も大きく費やされることが予想されました。
それでもなお、弊社としてはこのタイミングでの開設にこだわりました。
ここ数年のコロナ禍で、各種調査のオンライン化が進んだ一方で、オンラインだけでは賄いきれない部分について、リアル調査の重要性を再認識したこと。
生活者の買い物方法も、コロナ禍でオンラインでの買い物や宅配の利用率が着実に増えつつも、実際の店舗での買い物が全くなくなるわけではなく、とはいえ店舗での買い物行動には様々な変化が見られ始めたこと。
(例えば、店舗内の滞留時間を短くするため、目的の商品だけを買ってすぐに退店したり、たまたま目についた商品を試しに買ってみるという行動が減るなど、ご自身の行動も変化したのではないでしょうか)
現代人が受ける情報量が膨大に増え続けていく中では、調査の中で意図的にプッシュした情報からだけの判断ではなく、五感で感じたアンコンシャスな部分も含めての判断が、今後求められていくだろうと考えたこと。
など、理由は他にもたくさんありますが、各部門が議論し、連携し合い、全社一丸となり開設に至りました。
今回の開設では、コンビニエンスストアとドラッグストアの2業態の店舗の再現をしています。
開設に先だって、私個人としても実際に数十店舗以上のコンビニやドラッグストアに出向きました。
また、この立ち上げに関わったメンバー合わせると出向いた店舗は百数十店舗近くに及ぶと思います。
その中で、店舗のつくりや、商品の陳列について、“調査を行う側”としての気づきや発見もあったと同時に、“一生活者”としての自分の行動について、自分では意識していなかった気づきも多くありました。
どのような”タイミング”、”シーン”で、どのような”情報”、“理由”、“きっかけ”で、どのような“判断”、”決定”をしているのか?
普段、自分が買い物をする時の行動を客観的に見てみると、店舗内の様々な要素、環境からの影響を、意識的にも、また無意識にも、受けていることに改めて気づかされました。
「NI Shopper Lab.」では、そのような生活者が購買中に“五感”で感じたことを総合的、包括的に捉え、ライブ感のある調査で、より精度の高いインサイトを探り出すことができるようにしたい。
そんな思いを込め、細部にわたって工夫をし、よりリアルな環境に近づけられるようにしました。
また、様々なお客様のご要望にお応えできるよう、今後もバージョンアップしていきたいとも考えています。
今後、ご内覧頂いた際には、お気づきの点やご要望など、是非貴重なご意見も頂ければ幸いです。
模擬店舗会場は、これまでの会場とどこが違うのか。
今までの会場調査などでも、模擬棚に商品を並べ、パッケージの評価を行ったりしておりますが、パーツ・パーツでの再現はできていても、それぞれ分かれたパーツとなっているがゆえに、その関連性や、そこだけでは網羅しきれなかったその他の情報については、やはりリアルさの再現というには、物足りなかった部分ではありました。
しかし、その関連性や、他の情報を埋めることができるのが「NI Shopper Lab.」の利点です。
・店舗に入った時、この商品って目に入るの?
・この商品を探すときには何を目印に目指してくるの?
・このカテゴリーの商品を買う時、まずどの棚に行くの?
・この商品を買うときに、他にどういった商品を見るの?
・何を買うときに、この商品にも気が付くの?
・商品を手に取ったときに、どういった情報を見るの?
・何と比べるの?最初に目にとまったのはどこ?
・競合商品と比べるときに何を参考にしているの?機能?価格?
・何とこの商品を一緒に買うの?
などなど、見たいところ、知りたいところを、一連の買い物行動の中で確認することができます。
また、パッケージデザインの変更など大きなリニューアルの場合は、「これまでのように、認識してもらえるの?」というテストにも向いているかと思います。
ただ、もちろん会場設備を使うだけでは、十分な調査は行うことはできません。
どういったことを、どのように知りたいのか、ご要望をしっかりとお伺いし、適切な調査設計を行わせていただくことも重要です。
買い物に来る前の状況の把握から実際の買い物までのプロセスを知る調査や、ただ買い物をするだけではなく、子供と一緒の買い物や、時間がない時の買い物といった、対象者や状況を設定した上での調査など、その時々の要望にあった調査の企画、設計をさせていただければと考えております。
斬新な発想をする若手から、酸いも甘いも経験してきたベテランまで、弊社には幅広いリサーチャーが在籍しております。
実際の会場設営でも、パパ社員、ママ社員、若手社員、幅広い年代の調査員たちが、それぞれの視点で再現性を試みています。
NI Shopper Lab.を有効に活用いただけるよう、全社一丸となって様々なご提案をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
フィールドワーク管理部 フィールドワークグループ グループリーダー Y.M
一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会 CLT対策協議会 委員
過去担当案件本数:1,000本以上
対応手法:CLT、定性調査、訪問観察調査、店頭調査、ミステリーショッパー、最近では、オンラインインタビュー、オンラインCLTなど幅広い手法を管理、運営。
生まれは下町。下町ながらの人の触れあい、愛情、おせっかいを肌で感じながら育つ。
大学時代はマーケティングを専攻するも大学卒業時は就職氷河期時代。
偶然出会った近所のリサーチ会社のフィールドワーク部門で、社会の荒波にもまれて10年弱。
荒波はいつしか小波に感じられ、大海原を目指して現職へ。
“生活者”と“クライアント”の架け橋となるべく、“正確なデータ” “課題の検証” “スピード感”をモットーに、
生活者の行動を日々観察し、「なにをどこまできけるか」「どうきけるか」を模索中。
マーケティングを「一生の仕事」に