2021/12/15
執筆者: リサーチ・ディレクション部 H.O
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
昨年からコロナ禍での調査となり、調査のやり方も大きく変わりました。
2021年も終わりに近づきましたが、その流れは今年も引き続きの1年だったように思います。
最近は、日本での新型コロナウイルスの陽性者の数が落ち着いており、リアルの調査も少しずつ増えていますが、オミクロン株の登場により、第6波がいつ来るか、ハラハラしながらの調査が続いています。
定性調査の多くは今年もオンラインでの実施が多かったように思いますが、最初は恐る恐る実施していた「オンラインインタビュー」も、我々・クライアント様ともに慣れてきたことで、今まで対面でしかできないと思っていた多くのことが、「オンラインでもできるじゃん!」となり、むしろ「オンラインの方が生活者の普段の様子が見られて良いんじゃないか」というお声すらいただくようになりました。
オンラインインタビューは、新型コロナウイルスが終息に向かっても、残っていく手法の1つだと思っています。
オンラインインタビューの初期の課題は、リサーチャーコラム#8「やってみました!オンラインインタビュー ~メリット・デメリットとこれからの可能性~」でも紹介しましたが、その後1年以上続けていく中で、いくつか新たな課題も見えてきました。
「オンラインインタビュー」には、
・少人数で、言語情報を他者の意見を受けずに丁寧に掘り下げられる
・普段の生活環境で自分を素直にさらけ出しやすい
といったポジティブな面があることがわかりましたが、
一方で、「オンライングループインタビュー」には、
・誰かがが話している時、他の人は黙っていなければならない
・相互の刺激・他者への共感が生まれにくい
といったネガティブな面も見えて来ました。
もちろんモデレーターが、参加者の皆さんから、できる限り平等に意見を聴けるようハンドリングしますが、そうは言っても”発言がポンポン出てくる方“と”じっくり発言内容を考えてから話し出す方“が同じグループにいらっしゃる場合、オフラインよりも一人の方がずっと話している状況になりやすいことがあるようです。
そのためオンライングループインタビューは、1グループ内の人数をおさえて実施していることが多く、リアルのグループインタビューに比べると、少人数の意見しか聴けなかったり、人数を確保するためにグループ数を増やさざるを得なくなるというケースも多くあるかと思います。
このように、発言量の偏りや参加人数の問題から、せっかくオンラインインタビューを実施しても、「結果としては●●方向がよさそうだったけど、人数が少なかったしそれって本当にそのグループの総意だったのかな~」など、判断が難しいケースも多少あったように思います。
上記のようなデメリットや、グループの人数・発言の少なさをカバーするのが、「オンラインチャットインタビュー」です。
弊社では「MO Insights chat」というシステムを導入しています。
「チャットインタビュー」は下記のように「テキストチャット」でインタビューを行うものです。
進行役(モデレーター)が1~2名おり、事前にリクルートした対象者30名以上~ を相手にやりとりします。
関係者の方はもちろん、参加者のみなさんもPCさえあればどこからでも参加可能ですので、気軽に参加いただけます。
他の定性調査と同様に事前にフロー(ディスカッションガイド)を作成し、それを元に進行しますが、オンラインチャットインタビューなので、途中で追加質問を瞬時にいれることが可能です。
「MO Insights chat」の最大のメリットは、進行状況をみながら、テキストの追加質問だけでなく、予定外の「アンケート(MA・SA形式)」設問を作成し、聴取できることです。
30名以上の対象者が参加していますので、ある程度定量的に意見を聴取することができ、
・Aさんが発言した内容はみんながそう思っているのか?
・流れ的にPという意見が多く見えるが本当にそうなのか?
など、定性調査では後々悩みの種になりそうなケースも、その場ですぐに解決できます。
また、対象者も他の参加者の意見を読むことができるので、現在オンラインインタビューでは難しくなっている
「同意・共感」というところも生まれやすく、他の人の発言タイミングや発言内容を気にする必要もないので、
ホンネを引き出すこともできます。
ここで、弊社の「オンラインチャットインタビュー」の自主調査へ参加された方の感想を一部ご紹介します。
このように、楽しい・自分の姿が出ないのがいい・他の人の意見を参考にできる などのポジティブな感想をたくさんいただきました。
また、「体重などのパーソナルな質問も全然答えられます!」という声もあり、顔を出してのインタビューより、対象者のディープな部分に迫れる可能性もある手法かと思いました。
テキストで会話なんてできるの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、今や「電話してもいい?」とメッセージを入れてから電話するのが常識と言われるほど、単なる連絡のみではなく、SNSの短文のメッセージで、意思疎通を行うことが当たり前になってきていることから、私たちも驚くほど、チャットでの会話は盛り上がります。
いや、チャットだからこその盛り上がりもあるのかもしれません。
まだまだ他の手法に比べると実施が少ないため、未知数な部分の多い手法ではありますが、オンラインインタビューやインターネットアンケートに参加経験のある対象者にも新鮮な気持ちで参加してもらえますので、オンラインインタビューに飽きてきた・オンラインインタビューに疑問を感じ始めている・新しい手法にチャレンジしてみたい場合などは、ぜひ日本インフォメーションへご相談ください。
リサーチ・ディレクション部 H.O
新卒で日本インフォメーションに入社。
入社以来ずっと営業企画の部署で、食品・トイレタリー等のメーカー様を中心に担当させていただいています。
気がつけば入社してもう20年近くなりました。
企画~納品に毎日追われながらも、最近は週に3回の運動をすることを目標にしています!
マーケティングを「一生の仕事」に