近年、国際的に食品ロス削減に向けた動きが活発化しています。「持続可能な開発目標」(SDGs)では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれました。日本でも2019年に「食品ロス削減推進法」が施行、2020年には「食品ロスの削減に関する基本的な方針」が閣議決定されるなど、様々な動きが見られます。しかしながら、日本における食品ロス量は570万トン(2019年推計値)と、前年より30万トン減少したものの、依然として大量の食品が廃棄されているのが現状です。
そこで日本インフォメーション株式会社(代表取締役社長:斎藤 啓太 以下、日本インフォメーション)では上記テーマと絡めて、コロナ禍では、食品のまとめ買いなどコロナ流行前とは異なる購買習慣を行う必要があったが、コロナ禍を経て消費者の食品ロスへの意識・行動に変化はあったのか等について理解するため本調査を実施しました。
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✓#40コロナ禍を経て、 食品ロスへの意識はどうなった? 食品ロスに関する意識・行動調査
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■主な調査結果
①|「食品ロス」の認知
「食品ロス」の認知は全体で9割と大多数。「意味も含めて知っている」も7割。男女とも10代の若年層で認知が高い。
■まずは食品ロスという言葉はどの程度浸透しているのか聴取しました。「意味を含めて知っていた」は、男性10代は69.0%、女性10代は81.5%と男女とも10代で高く、特に女性10代は全性年代で最も高い結果となりました。その他の年代では20代で10代より1割ほど下がり、以降は年代が上がるにつれて高くなる傾向が見られます。若年層は、食育を受けていたり、SDGsと絡めて学校の授業で取り組む場があったりすることが、認知が高い理由かもしれません。(図表1)
②|「賞味期限」「消費期限」の違い/「賞味期限」が実際の期限より短いことの認知
「意味を含めて違いをどちらも知っていた」は全体で8割、特に男女とも10代が9割と各世代で最も高い。一方で、「賞味期限」が実際の期限より短く設定されていることの認知は全体で7割。10代は言葉の認知が高いが、「賞味期限」の設定期限の認知は男女とも全体(69.2%)より下回る。
■「賞味期限」「消費期限」は一般化してきていると言われていますが、実際どの程度違いが認識されているのでしょうか。聴取した結果、「意味を含めて違いをどちらも知っていた」は男性10代で85.7%、女性10代で90.2%と多くが認知していることがわかりました。特に、女性10代は「食品ロス」に続き、全性年代で最も高い認知率です。一方で、「賞味期限」が実際の期限より短く設定されていることの認知は全体で7割に留まりました。「意味を含めて違いをどちらも知っていた」の認知が8-9割と高い世代(男性10代、女性全世代)でも、「賞味期限」が実際の期限より短く設定されている認知は6-7割に留まりました。この言葉の意味を本当に正しく理解している人が多いとは、まだまだ言えない様子が窺えます。(図表2)
③|食品の購入・調理時の習慣(コロナ流行前・今現在比較)
コロナ流行前と比較して、「まとめ買い」「あるものでメニューを作る」が+3.5~3.7pts。女性の若年層を中心に、コロナ禍を経て効率的な習慣が上昇。一方で「必要な食品だけを購入する」が▲2.6pts。
■全体で「必要な食品だけを購入する」が5割と最も多い習慣でした。性年代別では「まとめ買い」は女性10・20代、男女50代でコロナ前より+6.1~12.7pts増加しています。また、「あるものでメニューを作る」は、女性10・30代、男女50代で+4.3~8.8pts増加しました。一方、「必要な食品だけを購入する」は男性30代で▲5.2pts、 女性20代で▲10.1ptsをはじめ、男女とも10~30代の若年層で減少している傾向が見られました。(図表3)(図表4)(図表5)
④|食品の廃棄量の変化(コロナ流行前・今現在比較)
「変わらない」が全体で7割と多数。一方でコロナ流行前と比較して、男女とも若年層の食品廃棄が増えている傾向。
■「まとめ買い」がやや浸透した結果、食品を使いきれているのでしょうか?食品の廃棄量の変化を聴取してみました。その結果、男女とも全年代で6~9割が「変わらない」と回答しました。一方で「増えた」は男性10・20代で19.3~21.4%、女性10-30代で13.1~16.1%と、全体(12.7%)より多く、男女とも若年層での廃棄が増えていることが見て取れます。また、「減った」は男性30・40代で15.8~24.3%、女性30代が15.2%と全体(12.9%)より高い傾向にあり、食材の使い切りができているのかもしれません。(図表6)
⑤|廃棄経験のある食品(コロナ流行前・今現在比較)
コロナ流行前も今現在も「特になし」が半数だが、コロナ流行前と比較して「野菜(根菜)」「野菜(根菜以外)」「ご飯」「パン」「肉」が▲2.5~3.7ptsと、主食・主菜に使われる食材の廃棄が減少。
■では捨てた経験のある食品はどんなものか聴取してみました。その結果、第1位は「野菜(根菜)」「野菜(根菜以外)」となりました。性年代別では、「野菜(根菜)」「野菜(根菜以外)」女性30~50代で▲4.9~9.0pts。「野菜(根菜)」は男性10代で▲6.0pts, 「野菜(根菜以外)」で男性50代が▲6.4ptsと男性の一部の世代で減少はあるものの、全体的に「野菜」は女性の方が廃棄した経験の減少傾向が多くみられ、うまく使いきっている可能性が窺えます。一方で、「ご飯」は男性10~30代で▲4.1~7.2pts、「パン」は女性10~30代で▲4.0~4.8ptsと「主食」は若年層を中心に減少しました。外食を控えた結果、簡単な自炊の比率が高まったのかもしれません。
(図表7)
⑥|「食品ロス」の解決に取り組む企業の評価
全体で「あてはまるものはない」が4割と一定数いる一方、残りの6割は企業イメージ・購入意向にポジティブに影響がある。特に男女とも20代への影響力が強い。
■最後に、各企業の様々取り組みを呈示して生活者に印象を聞きました。「冷凍食品の寄贈」「食品ロスの削減ボックス」「食べ残しの持ち帰り推奨」など、企業イメージに一定の良い影響は見られましたが、購入意向との差が10pts以上と購入意向へのバリアは強めの様子が窺えました。また「ふぞろい品のアウトレット販売」や「てまえどりでポイント付与」など、消費者に直接的な還元がある施策の方が企業イメージ・購入意向とも高まる傾向も見られます。経済活動とのバランスが各社難しいところのようです。
(図表8)(図表9)(図表10)
今回の調査では、約2年のコロナ禍により変容した生活者の行動の一部は定着した様子が窺えました。まとめ買い傾向が多くなる一方で、食品ロスに繋がりかねない様子も見られ、各企業による啓蒙がより一層必要だと感じます。特に、若年層は教育現場からの情報接触により、食品ロスへの意識は高いものの、実際の行動にまでつながっていない様子も垣間見えました。生活習慣を変えるには2年という十分すぎる時間が強制的に与えられた今回のコロナ禍。一体、アフターコロナでは生活者はどんな習慣をもとに行動するのでしょうか。今後も継続してウォッチしてまいります。以上、~コロナ禍を経て、意識は高まる?食品ロスに関する意識・行動調査~ の結果を抜粋してお伝えしました。
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■調査概要
調査地域:日本全国
調査対象:16~59歳の男性・女性
サンプルサイズ:996サンプル
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2021年12月7日~8日
レポートの著作権は、日本インフォメーション株式会社が保有します。
内容を転載・引用する場合には、「日本インフォメーション(株)調べ」と明記してご利用ください。
■会社概要
会社名:日本インフォメーション株式会社
所在地:東京都中央区銀座3丁目15-10 菱進銀座イーストミラービル4F
代表取締役社長:斎藤啓太
資本金:5,500万円
設立:1969年12月1日
URL:https://www.n-info.co.jp/
事業内容:マーケティング・リサーチ事業、マーケティングコンサルティング 他
■本調査・リリースに関する問い合わせ先
日本インフォメーション株式会社 担当 : 川島・橋本
E-mail : ni_inquiry_report@n-info.co.jp