2022/09/29
執筆者: NIマーケティング研究所(集計分析担当) T.A
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
今年、私はライフスタイルの大きな変化を受け、このまま東京で働き続けられるかどうかの瀬戸際に追いこまれました。
とはいえ、ここまで続けてきた仕事や会社に愛着もあり、なんとか続けられる道はないものかと会社との調整を重ね、遠方でのテレワークメインの働き方に変更させてもらい、社員の立場で仕事を継続できることになりました。
おかげで、働き方に少し変化はあるものの、仕事の内容は大きく変わらず、今も現職を続けられています。
今、このコラムも東京本社からほど遠く離れた北の方の片田舎で書いています。
コンビニまで車を走らせ15分。夜どころか、日中も人を見かけることはあまり多くない、こんな山だらけの片田舎でも仕事ができる。
通信環境さえあれば、やろうと思えば意外にできる。そんなことを実感しています。
ただしそれも仕事の内容、会社の考え方、周りの同僚やクライアント様の理解など様々な条件が関わります。
ただ、それぞれの立場から「やろうと思うこと」は、今後確実に労働力人口が減っていく中で、地方だろうとどこだろうと、人材を活用する方向性は、今まで以上にどんどん進んでいくということを実体験として感じています。
このような働き方を模索できたのも、実はコロナ禍以前から当社ではテレワークを推進していたことに端を発しています。
私が現職に入社した当時、集計・分析を主に担当していた私のパソコンはデスクトップタイプでした。
仕事柄外出することは多くなく、出社してオフィスで黙々と仕事をする上で支障はありませんでした。
そのうち、パソコンの更新時には多くの人にノートパソコンが支給されるようになり、営業部門を中心にクライアント様との打ち合わせでパソコンを広げたり、外出先の近くのシェアオフィスなどで仕事をしたり、といったような部分的なテレワークを行うことも出てきました。
また、育休から復帰した社員が週のうち何日かは在宅で勤務するといったことも行われていました。
それでも、基本的には全員が毎日オフィスに出社し、顔を合わせて仕事をするといったスタイルで、それについて疑問を抱くこともなく、至極全うなことだと思っていました。
あくまでもベースは出社で、「テレワークでも仕事ができる」という体制です。
2020年春、それは一変します。新型コロナ感染予防のため、自宅での作業が可能な業務は半ば強制的に在宅勤務へと切り替えられていきました。
営業部門が先行して様々なハード面の整備が進められていたものの、当時は限られた時間の中で準備もままならない中、自分自身も突然の働き方の変化に戸惑い、個人的にはかなりのストレスを感じていたのを覚えています。
しかし、月日を重ね、今では設備、環境も整い、時間を有効活用できるようになったなどのメリット、一方で対面のコミュニケーションがとりづらくなったなどのデメリット、様々な課題とぶつかりながらも、出社とテレワークを織り交ぜながらの環境下で、都度解決に向けた対策に取り組みながら、今では比較的快適に仕事ができてきているように思います。
こんな働き方はもう少し先の未来のことだと思っていたはずでした。
事実、内閣府の調査によると、テレワークの実施率は2019年12月には全国レベルで10%程度、東京都でも20%弱に留まっていました。
それが現在では、全国レベルで30%ほど、東京都では50%以上まで高まりました。
テレワークが実質的にできない業種や職種もありますので、その上でこの実施率は非常に高いのではないでしょうか。
社会的には様々な負の影響を及ぼしたコロナ禍でしたが、ことテレワークに関しては「やろうと思えばできることもある」ことを広い業種で体感できたことは、今後の働き方に向けて大きなプラスになったと思うし、今後さらにプラスにしていくべきではないかと思います。
当社では、テレワーク導入以前から、またそれ以後も、多様な働き方に関する制度が取り入れられてきていました。
フレキシブルな勤務時間に調整できる「フルフレックス制度」。
ライフスタイルに合わせて、勤務時間、日数の短縮ができる「時短・出社日数制限勤務制度」。
他にも、自宅や自宅近隣のシェアオフィスでの勤務が可能な「在宅・シェアオフィス勤務制度」などは、テレワーク事変以前より推進されてきました。
今年は、柔軟に長期休暇を取得しやすくできるように、旅先でも仕事をすることができるような、「ワーケーション制度」が新設されたりもしています。
また、遠方でテレワークをしているのは私だけではなく、信州方面で同じような働き方をしている方が他部署にもいます。
このような新たな制度は、テレワークの普及によるところも大きいかとは思います。
しかし、今後さらに少子高齢化が進み、労働力人口が減少していっている日本においては、多様な人材が、様々なライフスタイルの変化の中で、長く働き続けられるような環境づくりが、さらに重視されていくことは間違いないのではないかと思います。
当社も、このような制度を活用し、幼い子供や高齢の家族がいる社員など、多様な人材が様々な働き方で活躍しています。
それがキャリア継続につながり、本人にとっても組織にとっても、ひいては社会全体にとっても、より多くのメリットをもたらすことにつながるのではないでしょうか。
私自身も、世の中がこのような流れになっていなければ、会社の体制整備が進んでいなければ、周りの理解が得られなければ、自分のキャリアは簡単に絶たれてしまっていたかもしれません。
もしかすると、今頃は土にまみれてジャガイモと格闘していた人生だったかも。(それはそれであり、と考えたりもしましたが。)
さて、リサーチャーコラムと称しながら、私や当社のことばかりを書いてしまいましたが、当社だけでなく、世の中全体がここ数年で大きく変わりました。
働き方の変化による意識、生活行動の変化もある程度定着したところかとも思います。
当社では、消費者に向けた調査等ばかりではなく、企業や団体などの社員・職員に対する内部アンケート調査などのご相談も随時承っております。
日本ではまだ感染者数が大きく減ったわけではありませんが、9月中旬にはWHOが“パンデミックの終息が視野に入った”というようなコメントを出し、まだまだ予断は許さないものの、いよいよ本当のアフターコロナがやっと少しずつ見え始めてきたところかとも思います。
そこに向けて、改めてこれからに向けた調査などをご検討の際はご相談いただければと思います。
また、もし今、本コラムをご覧頂いている方が、将来調査業界を目指す学生の方などで、
当社に少しでもご興味をお持ちいただけていましたら、本コラムに書いた多様な働き方に関するコンテンツもありますので、当社ホームページの「Marketing,Your life work.」もご覧いただければと思います。
NIマーケティング研究所(集計分析担当) T.A
大学時代は社会調査を専攻するも、ロスジェネのさきがけ世代で、大学卒業時は就職氷河期真っ只中。
一度はシステムエンジニアとしての道を歩み始めるも、IT不況のあおりを受け、勤めていたSIerは倒産。
路頭に迷っていたときにネットリサーチの存在を知り、今までの経験をハイブリットできないかと調査業界へ転身。
ロスした分を取り戻すべく、デスク~現場をがむしゃらに走り続けて10余年。現職に至る。
現職では、主に消費財メーカー様の商品開発、市場分析などのテーマに集計分析から報告まで担当している。
マーケティングを「一生の仕事」に