2021/10/08
執筆者: リサーチ・ディレクション部 大阪営業所 A.H
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
このコラムをお読みになっている皆様は、調査の「対象地域」を検討される際、どのように選ばれますか?
「代表的な結果を得られやすい」「トレンドに敏感な人が多い」などの理由で、「調査対象地域=東京」が基本とされがちですが、その基本に沿ってさえいれば間違いないのでしょうか?
例えば、人の味覚の感じ方は関東・関西で異なるため、食品メーカー様の味覚評価(会場調査)は、東京・大阪の2拠点で実施されるケースが多くあります。出汁の味はもっとも代表的な例です。
では、インタビューメインの定性調査はいかがでしょうか。
今回のコラムでは、数多くの大阪実査を経験してきた生粋の大阪人である私の視点から、東京・大阪の違いなどをお届けします。
そもそも、皆さんがお持ちの「大阪人のイメージ」とはどのようものでしょうか?
テレビ番組等で取り上げられるものとしては、
<ポジティブ面> 面白い、ノリがいい、裏表がない、フレンドリーで親切、おばちゃんがアメちゃんをくれる
<ネガティブ面> せっかち、ケチ(値切り上手)、デリカシーがない、ガラが悪い
等がよく挙がります。
ポジネガのどちらかは不明ですが、声が大きい/派手/「知らんけど。」が口癖 などもよく言われます。(知らんけど)
この場を借りて、ひとりの大阪人として言わせていただきたいのは
「大阪人の全員が全員、ボケとツッコミができて、ノリがよくて、せっかちで、値切り上手ではない!」ということです。
どこの地域でもそうで当たり前なのですが、そのイメージ通りの人と、全く異なる人がいます。
これを念頭に置きつつ、引き続き本コラムをお読みくださいいただければ幸いです。
<対象者の特徴について>
弊社には関西在住のモデレータが複数在籍しており、大阪の企業様との案件は関西在住のモデレータと進めます。
「大阪の対象者の特徴」についてモデレータと意見交換をしたところ、以下2点が挙がりました。
特徴①:グループ内で打ち解けるのが早く、ダイナミクスの形成がしやすい
グループインタビューでは、なるべく早い時間にグループダイナミクスの形成ができることがカギとなります。
ダイナミクスの形成ができれば、対象同士で積極的な会話が生まれ、短時間でより深い発言が得られるためです。
特に男性対象者の場合は、発言が消極的だったり「本音と建前」を使いわける方が多いため、早くにダイナミクス形成できるか否かは、モデレータの力量が問われるところだと言われています。
ここからが大阪の対象者特徴です。
通常のインタビュー前の待ち時間は誰も話さないのでシーンとしてしまいがちですが、大阪の対象者は勝手に話し出すことがあります。
(「今日は夕方から雨みたいですね」「会場まで迷っちゃって~」など)
そこまでではない方でも、インタビュー開始後には自己開示や発言に積極的な方が多い印象です。
インタビューが盛り上がり2時間では話し足りなかった対象者同士で、終了後にお茶にいくのを見送ったスタッフもおり、これは大阪人ならではの行動だと感じました。
特徴②:センシティブな話題も、比較的オープンに話してもらえる
あまり積極的に話したくないようなセンシティブなテーマのインタビューもあるでしょう。
弊社では深刻なお悩みや衛生商品がテーマの場合は、グループではなく1対1のデプスインタビューを推奨しています。
通常はデプスインタビューでも参加応諾がとりづらいテーマでも、大阪の対象者なら比較的ご協力いただけることが特徴です。
一例ですが、頭髪を気にされている男性に「ヘアケアに関するインタビュー」、女性に「お尻のブツブツに関するインタビュー」の実施でも、時には面白おかしく失敗談を交えながら、ざっくばらんにお話いただけました。
<オンラインインタビューについて>
近年ではコロナ渦の影響で「オンラインでのインタビュー」が盛んになり、大阪にいながらにして東京の対象者様とのインタビュー(あるいは、東京にいながらにして大阪の対象者様とのインタビュー)が可能になりました。
それどころか、東阪に限らず全国でも、今や日本に限らず海外でも可能ですね。
*日本インフォメーション オンラインインタビュー紹介ページはこちら
その際に、モデレータ自身が「対象者と同じエリアについて知っている・語れる」ことは、とても重要です。
例えば、その地域独特の慣習や競合商品などがわかっていると、インタビューの進行がスムーズですし、深堀りやすくなります。
特に調味料などは、関東では全く知られていないようなものが関西ではメジャーだったりするケースが多いようです。
(なんと、同じメーカーでも関東・関西で味を変えていたりも!)
先述した関西のモデレーターは、時には対象者に応じて標準語と関西弁を使い分けながらインサイトを探ってまいります。
東京の企業様のオンラインインタビューでももちろん起用していただけますので、お気軽にお問い合わせください。
<対面インタビューについて>
大阪での「対面インタビュー」の場合は、心斎橋にある自社会場で実施します。
このインタビュールームは弊社大阪営業所のオフィスと隣接しているため、実査中の突発的な変更に臨機応変に対応できます。
レイアウトを自由に変更できるため、会場調査(CLT)の会場としても使用しています。
実は、大阪に自社会場を持ち、リサーチプランナーも在籍している調査会社はそれほど多くありません。
2003年から約18年間、地域に根差して調査を継続している弊社は、様々な定性調査の経験があるため、他社にはないファインディングを提供できるかと思います。
いまの社会情勢が落ち着き、対面調査が以前と同じくらい活発になった時には、皆様と大阪会場でお会いできることを楽しみにしています。
*日本インフォメーション スピークス大阪(SPEAKS大阪) 掲載ページはこちら
それでは、調査の「対象地域」はどのように決めれば良いのでしょうか?
弊社では、「調査の目的」や「明らかにしたいこと」に応じて、東阪2拠点調査をお勧めいたします。
冒頭にも記載した、味覚評価(会場調査)はもちろん、デザイン評価やコンセプト評価の定量調査も、関東/関西でクロス軸を切ると新たな発見があるかもしれません。
対象者の出現率や応諾率が低い場合は、全国を対象としたオンラインインタビューで実施することも一つの手です。
弊社では、大阪の自社会場にてインタビュー調査・会場調査を実施可能です。
対象者リクルートの面では、WEBリクルートはもちろん可能ですし、調査員の人脈(紹介)をベースに行う機縁法のリクルーターも大阪で活躍しています。
*対象者リクルーティング:https://www.n-info.co.jp/service/recruiting/
詳細は各営業担当者まで、ぜひお気軽にお問い合わせください。
リサーチ・ディレクション部 大阪営業所 A.H
関西の教育大学を卒業後、専門学校の広報スタッフや、学習塾ポータルサイトのディレクターを経て、
20代後半で未経験からリサーチ業界へ転職。
大阪営業所に所属して現在4年目で、ベテランスタッフに囲まれながら忙しくも学びの多い毎日を過ごしている。
関西クライアントのみでなく東京クライアントもコロナ前から担当していたが、リモートワークが進んだことでさらにエリアの垣根を越えて奮闘中。
大阪での会場調査の場合は、フィールドワーク部と連携しながら現場運営も担当。
マーケティングを「一生の仕事」に