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2020/04/21

NIリサーチャーコラム #07 ~ 非日常の日常 めまぐるしく変わる行動と価値観 新型コロナウイルス問題がもたらすもの ~

執筆者:リサーチコンサルティング部 第2チーム リサーチャー  S.T

 

※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。

 

今、何が起こっているのか

新型コロナウイルス感染拡大防止対応につきましては、お客様各社におかれましても、様々な影響を受けていらっしゃることと存じます。
このような状況の中でも、医療従事者の方々はもとより、社会的責任を果たされ、社会生活を維持するために、インフラの維持、生活必需品の提供など、様々な分野でご尽力されるお客様各社に一生活者としても深く感謝しております。

 

弊社におきましても、参加者の方々の安全に配慮し、対面で行うCLTやFGI、DI等については中止、社員の在宅勤務の推進等を行い、お客様のご理解、ご協力を得ながら、「できる限り移動と接触を減らす」ことに社会の一員として取り組んでいきたいと考え、日々試行錯誤を続けております。
また、お客様各社、ご担当者様からもあたたかいお言葉、激励をいただき、社員一同、「今、自分がすべきこと、できることをやろう」と前向きに頑張っております。一日も早い「普通の生活の再開」を、ただ祈るしかないことももどかしさも感じつつ。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために日本で初めての「緊急事態宣言」が首都圏、近畿圏、福岡県の7都府県に発出されたのが4月7日。そして4月16日には全国に広がりました。(4月20日現在)

 

政策や新型コロナウイルスそのものに対して何らかの見解を述べる立場にはないので、それは国や自治体、各分野の専門家の方々から発せられる情報を自分なりに消化し、納得していくしかないのですが、社会の動きを見ていて、ふと自身の数値分析の参考にするためにかつて読んだ社会行動学の論文の一節を思い出しました。

 

「人は楽観的な情報を信じたいと思い行動する。悲観的な情報は、受け入れられないし、批判される」
「しかし、現実とすり合わせをしながら、妄信的に楽観的な情報を信じる人の割合と、悲観的な情報を信じる人の割合は、目まぐるしく変化する」

 

詳細は異なるかもしれませんが、大枠はこのような内容だったと記憶しています。

 

私自身も、当初から様々な情報やデータを様々な立場の方々から収集しつつ、自分なりに現状を分析していました。
当初の中国の情報からは、「日本ではこんなことにはならないでしょう」と思っていたものの、イタリアの状況から「おや?何かが違う」と考え始め、スペイン、フランスからイギリスをはじめとした欧州の状況の変化を見て、「これは何かが違う」と思い、アメリカの状況で「絶対にこれは何かが違う」と考えが変わっていきました。

 

 

社会行動学的に考えると、人は「わけのわからない変化」に巻き込まれた時、「困惑期」には 現状の分析→不安の払しょく→進むべき方向の模索→進むべき方向の決定 を経て行動することが理想で、そのために「冷静になりましょう」という発信を行い、「不安の払しょく」につながる情報を提供することが重要になります。
その提供のタイミング、内容を間違えると、人は「怒り」や「諦め」、「自分だけが利益を得たい」といった負の感情に引っ張られていきます。

 

現在は、日本だけではなく世界中が、まだこの「困惑期」にありながらも、「不安を払拭する情報」を確実に発信できる状況には残念ながら至っていません。
様々な主張、意見、情報、データはあったとしても、それが正解かどうかは、短期間では検証できないからです。

 

ただ、その中にあっても、日本は様々な分野の専門家の試行錯誤の研究、提言、取り組み、呼びかけ、それに対する一人ひとりの行動の積み重ねによるところなのか、はたまた別の要因なのかはわからなくとも、現状(4月20日)においては、欧州各都市、NYのような絶望的な状況に陥ってはいません。

 

だから、この状況の中でも、日々の生活を続けていかなければならないし、続けていくことができているのです。

 

消費者の行動と意識の変化

では、消費者の行動や意識はどう変化しているのでしょうか。

 

まずは「情報に敏感」になり、「慎重に選択」するようになります。少しでも「安心」したいからです。
そして、その「安心」を崩すものに対して、強い嫌悪感を持ちます。
この嫌悪感の相手は、日々目まぐるしく変わっていきます。
逆に「安心」をもたらすものには、強い好意を持ちます。そしてこの好意の相手も日々目まぐるしく変わっていきます。

 

家にいる時間が増えることで、活動エリアが変わり、食べるものが変わり、興味が移り、これまでと違う場所やモノに接することで、これまでどうでもよかったものでさえ、評価するようになります。

 

例えば、これまで自宅で食器を洗うことがなかった男性が、食器用洗剤を使います。
主婦とは違う視点で、汚れ落ちを評価するかもしれません。
洗濯も掃除も、「家の中の仕事」には同じことが起きるかもしれません。主選択者も変わっていくかもしれません。

 

選択の重視点も変わるかもしれません。価格から品質、安心の重視へ。

 

企業姿勢への評価の視点も変化してくるかもしれません。安定供給への努力。社会貢献の度合い。

 

そしてそれは日々変わります。「こんな時だからこそ、明るく前向きに」がプラスにとらえられる時もあり、マイナスにとらえられる時すらあるかもしれない。

 

 

しかし、いずれは、日本なりのやり方で、これまでと同じではないかもしれないけれど「普通の生活」に戻る時は必ずやってくるであろうし、やってくると信じたいと思っています。

 

だからこそ、「普通の生活」に戻った後のために、刻々と変化する消費者の意識を正確に把握し、消費者に寄り添う企業活動を行っていくことは、我々自身もそうであるし、お客様各社におかれても同じなのではないかと考えています。

 

私たちにできること

弊社は、かねてからオンライン調査にも取り組んでまいりましたが、お客様から評価いただいていた手法には、CLTやFGI、DIなど直接消費者からのご意見をお聞きするものが多くあります。
HUT(ホームユーステスト)も含めて、オンラインのパネルだけではなく、独自の機縁ネットワークで依頼するパネル(対象者)に、強い信頼を寄せていただいているお客様も多くいらっしゃいます。

 

現状は実施できない手法があることも事実です。ただ私たちは、リアル調査の利点をお客様以上に感じながら、「今できること」として代替手法を提案し、ツールを整備しながら、試行錯誤を続けております。
また同時に、いずれリアル調査ができるようになった時に、またその手法を継続できるよう、実施に不可欠な運営スタッフ、ノウハウの維持に努めております。

 

私たちは、オンラインの利点も、リアルの利点も理解しています。
「今の状況で何ができるのか」「お客様の要望にどのように応えたら良いのか」を考えています。
単に代替手法を提案するだけではなく、「リアル調査」の利点を保った、リアル調査で培った経験を生かした「オンライン調査」をいかにして行うのかを考えています。

 

「今、調査会社として、何をすべきなのか」

 

お客様と共に考えさせていただきながら、この状況を乗り越え、未来につなげていきたいと、社員一同日々業務を続けております。

 


執筆者プロフィール

リサーチコンサルティング部 第2チーム リサーチャー  S.T

 

工学部工学研究科博士課程都市・交通計画専攻で道路計画、交通計画、都市計画を学ぶ

公共系シンクタンク、大学研究所では総合計画・各種計画・施策の立案、

住民参加型まちづくり事業の推進を担当

 

高速道路建設の経済効果等を研究する中で、「満足度をお金に換算して経済効果に計上できないのか?」と

思い立ち、マーケティング理論に出会う

39歳でマーケティングリサーチ会社に転職

その後は各種公共施策の立案と並行し、商品開発、市場分析等を担当

海外調査(グローバルリサーチ)については、気づいたら16か国延べ40都市で50以上のリサーチを実施

4年前から現職

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