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2020/03/18

NIリサーチャーコラム #06 ~ 【コンジョイント分析】の有用性 ~

執筆者:リサーチディレクション部(営業企画担当) Y.I

 

※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。

 

【コンジョイント分析】の有用性

コンジョイント分析という分析手法をご存知でしょうか。

 

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が、「ダイナミックプライシング(価格変動制)」を採用したように、昨今AIによって合理的に数字を導く方法も研究されているものの、プライシングはマーケティングミックスにおける重要な要素であり、マーケッターが様々な要素を踏まえ人的に判断しているのがまだまだ現状だと思います。需要と供給の関係を踏まえてどのように価格を決めるのかは、マーケッターにとっては、永遠に悩みが尽きないテーマの1つです。

 

コンジョイント分析は、アメリカでは7割以上の調査会社で実施経験があるというほど、ポピュラーな分析手法ですが、日本ではまだそこまでの実施経験はないようです。

 

非常に有効な分析手法のため、日本でも大手の調査会社では様々な方法で実施しておりますが、調査設計自体や得られた結果の扱い方がとても難しい手法でもあり、なかなか普及していないのが現状です。今回は、コンジョイント分析についてご紹介してまいります。

 

コンジョイント分析の概要(冷蔵庫の例)

コンジョイント分析は、属性/水準というものを用意し、各水準を組み合わせて、それぞれについて評価する事で、結果を得る手法です。例えば冷蔵庫を例に取ると、以下のような属性・水準表を作成します。

 

※図① 属性/水準表 例

 

続いて、上記各属性から1つずつ水準を抽出し、以下のようにカードを作成します。

 

※図② カード 例

このような組み合わせのカードに対して順位や点数を付ける事で、どの属性・どの水準が重視されているのかが分かります。しかし、全ての属性・水準の組み合わせを評価しようとすると、膨大な数の組み合わせができてしまいます。

 

図①の属性・水準でできる組み合わせは、10万通りになってしまい、これら全てに順位や点数を付ける事は不可能です。そのためコンジョイント分析では、直交表やベイズ推計という、全ての組み合わせを見ていなくても、見たのと同じ効果が得られる方法を用いて結果を導き出します。以前はそれでも「7属性・2水準」「8属性・2水準」「4属性・3水準」など、少ない数の属性・水準でしか行えませんでしたが、最新式のコンジョイント分析では、図①のような多属性・多水準のものでも、結果を得る事ができるようになりました(限界はありますが…)。

 

コンジョイント分析では、ある程度現実にはない組み合わせが出来上がっても、そのまま調査を行います。例えば、上記の冷蔵庫を例に取ると「525Lで6ドア」は実際にはなかったとしても、回答する際にはそのまま表示します。但し、物理的にあり得ない場合などは、その組み合わせを表示しないように設定します。例えば、冷蔵庫自体の容量が500Lなのに、野菜室の広さが600Lとなってしまう場合などです。

 

コンジョイント分析で分かる事

コンジョイント分析でわかる事は、主に以下の2つです。

 

1:生活者が「重視する商品特徴」を把握することができる

2:属性/水準の組み合わせで、自社と他社のスペックを再現する事でシミュレーションを行うことができる

 

シミュレーションにより、生活者のマインドシェア(生活者の心の中でのシェア)やPOSデータなどを用いてのシェアシミュレーション(価格やスペックを変更する事による市場シェアの変化)が行えます。

 

上記の「1」について、通常の調査の場合、以下のように重視度を聴取すると平均値が似通ってしまい、結果的に何が重要なのかが分からない場合があります。

コンジョイント分析では、下記のように組み合わせて聴く事で、「何を優先して、何を捨てるか(トレードオフ)」を考えるため、重視されているものが明確になります。

 

例えば、カード①~④に対して、
「カード③は容量も大きいし、冷凍室の特徴も欲しい機能だし、ドア数も多くて良いんだけど、価格がねぇ・・・」
「カード④は年間電気代も価格も安いんだけど、容量が少ないし、A社は好きじゃないしなぁ・・・」

 

などのように考えながら順位や点数を付ける事で、その人が潜在的にどの要素を重視しているかが分かります。

※図② カード 例(再掲)

平均効用値・平均重要度 納品物 例

結果は、平均効用値と平均重要度という指標で出てきます。

 

※平均効用値 例

▼メーカーでは「C社」の効用が高く、容量では「600L」の効用が高い。

 

 

※平均重要度 例

▼最も平均重要度が高いのは「年間電気代」で26%、次いで、「価格」が19%で続いている。

シミュレーションについて

「2」のシミュレーションでは、まず、自社と競合の商品のスペックに合わせて水準を組み合わせ、それぞれの水準が持つ効用値の値を利用して、マインドシェアシミュレーションが行えます。組み合わせを作成し、ベースのシナリオでのマインドシェアを算出した後、価格やスペックなどの商品特徴を変更する事により、マインドシェアの変化を確認することができます。

 

以下の例では、自社を「C社」とし、200,000円から160,000円に価格を変更した場合のシミュレーションです。

 

「C社」のマインドシェアが6%増加する事がわかります。

 

更に、自社製品に改良を加えてシミュレーションします。「容量」広くし「年間電気代」も変更してみます。

 

自社の「製品1」のマインドシェアが37%まで拡大します。

自社の新商品を市場に投入した場合のシミュレーションも可能です。もし、「C社」が現行モデルはそのままで、容量を広くした商品を製造し、市場に投入した場合は以下のようになります。
※製品5を現行市場に投入。

 

 

「C社」が製品5を投入した事によって、17%のマインドシェアを得る事ができましたが、カニバリが起きてしまい、自社の製品1のマインドシェアは4%に減ってしまいました。しかし、製品5を投入する前と比べると、自社製品のマインドシェアは8→21%に増えた事になるので、製品5の市場への投入は正解だった事がわかります。

 

マインドシェアを算出する事により、その商品の本当の実力が分かります。市場のリアルシェアとマインドシェアの差異は、製品自体以外の原因に依るものと考えられます。
※例えば、宣伝していないとか、店に置いていないなど。

 

上記の例は、あくまでもマインドシェア(生活者の心の中でのシェア)の変化になりますが、POSデータなどが分かれば、各社の市場のシェアに合わせて補正する事で、リアルな数値でのシミュレーションが可能になります。また、定点的にコンジョイント分析を行い、その結果を元に補正値を改善する事で、更に精巧なシミュレーションが可能になります。

 

属性・水準は、コンジョイント分析の結果を左右するとても重要なポイントです。
きちんとした属性・水準を設定できれば、シェアシミュレーションの結果は限りなく実態に近づきます。

 

コンジョイント分析で実施できる事

コンジョイント分析は、様々な調査で利用できます。コンジョイント分析が向いている調査は、以下のようなものです。

-新製品開発と市場投入シミュレーション
-製品リニューアルによる市場投入シミュレーション
-カニバリゼーション予測
-製品ラインナップ拡大
-ブランド力評価
-広告・プロモーション訴求ポイント把握、その効果シミュレーション
-適正価格の把握及び価格弾性
-パッケージ最適化

 

コンジョイント分析の有用性

コンジョイント分析では、各属性・水準の評価をするにあたりトレードオフを行う事で、深層心理を踏まえた評価を得る事ができます。その結果である効用値を用いてシミュレーションを行う事で、様々な予測も行えます。

 

最新式のコンジョイント分析では様々な手法が開発されており、以前よりも色々な事ができるようになっています。また他の手法と組み合わせる事で、より有益な結果も得られるようになっています。

 

コンジョイント分析の理論の詳細はとても複雑ですし、調査設計も気を付けなければならない点は多いですが、正しい調査設計を行えば、かなり有益な結果を得る事が可能です。是非一度、専門家の在籍する当社で、コンジョイント分析を含めた調査を実施して、その有用性を確認してみて下さい。

 


執筆者プロフィール

リサーチディレクション部(営業企画担当) Y.I

 

マーケティング、並びにマーケティングリサーチに携わり、20年以上。
複数のマーケティングリサーチ会社を渡り歩き、様々なクライアントの案件を担当。
Windowsが普及する前からパソコンで作業を行い、大きな失敗も繰り返しながら、現在では、企画から調査票作成、WEB作成、集計、分析、報告書の作成まで一人でこなせる技術を取得。
現職では、報告書の先まで見据えた企画提案営業を心掛けている。

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