執筆者:NIマーケティング研究所(集計分析担当) A.Y
※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。
集計表の課題点

グラフや報告書からではなく、アンケートの集計表だけから調査結果をすばやく把握したい場面は少なくないと思います。
そんなときに「結果を把握するのに時間がかかった」「目当てのデータを探したり見比べたりしづらかった」と感じた経験はないでしょうか。
その原因は、データの中身ではなく、「集計表の出し方」にある場合があります。
なぜ集計結果が伝わりにくくなるのか
では、なぜ伝わりにくいのか。
集計表自体は正しく作られているのにもかかわらず、結果が伝わりにくくなる背景には、以下のような要因が考えられます。
- 情報量が多すぎて、見るべき箇所がすぐわからない
- 設問の優先度や重要性が加味されていない
- 見比べたいデータ間の関係性が見えにくい
など
ポイントは「正しく集計されている」=「伝わる」ではないということです。
情報を整理する工夫が必要
このように、集計結果が伝わりにくくなる背景には、データ量の多さや情報の散在があります。
そこで有効になるのが、集計表に少し手を加え、見るべきポイントを整理したりデータを見やすくする工夫です。
以下では、実務の中でよく用いられる、集計表に付加価値を与える例をいくつかご紹介します。
①結果を見比べやすくする工夫
マトリクス設問(SA)のマルチ集計
単一選択のマトリクス設問の結果を一覧にまとめる(項目を選択肢として集計する)ことで、項目間の評価差を一覧で把握しやすくなります
※マトリクス設問(SA)のマルチ集計については、過去のコラムで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
NIリサーチャーコラム #40 集計表見やすさ向上のTips ~SAマトリクスをMA1つに統合!~
順位合算
1~3位計、1~5位計など順位設問の結果を合算することで、積み上げた場合にどの項目が支持されているかを把握しやすくします
②回答傾向をプラスで可視化する工夫
複数回答形式(MA)設問の選択個数カウント
選択肢のままの集計だけでは気づきづらい、「トータルでの想起量や該当ボリュームの違い」がわかることがあります
標準偏差の算出
標準偏差を用いることで、平均値だけでは分からない、データのばらつきや意見の分かれ方を確認できます
③その他の工夫
集計軸同士のクロス集計
集計軸同士をクロス集計させることで、層のボリュームや重なり・関係性を確認したり、主要な結果をこの1表だけですばやく把握したりすることができます
その他の新しい集計アイテム
例えば、複数の設問結果や関連する選択肢を組み合わせて新しい指標を作成することで、単一の設問だけでは捉えにくい傾向や全体像をよりわかりやすく整理できます
集計表に付加価値を与える際の注意点

<やりすぎないために意識したいこと>
集計表に付加価値を与えることは、集計結果をわかりやすくし、すばやいデータ把握を助けるためのものです。
一方で、手を施し過ぎると、かえって結果が伝わりにくくなってしまうこともあります。
最後に、集計表に付加価値を与える際に意識しておきたい注意点を整理します。
①「見せたいこと」を増やしすぎない
付加価値を与えることばかりを意識すると、「あれも見せたい」「これも入れた方が良いのでは」と、必要以上にデータや集計軸を増やしてしまいがちです。
調査目的をよく理解して、見てもらうべき情報や必要なデータを絞ることも、集計表を伝わりやすくする方法のひとつだと思います。
②元データとの関係がわかるようにする
マトリクス設問(SA)のマルチ集計や順位合算や新しい集計アイテムの加工を行う場合は、「どの設問を元にしているのか」がわからなくならないように注意が必要です。
新しい集計アイテムの結果だけを示すのではなく、必要に応じて元となる設問の結果にすぐ立ち返れる状態を残しておくことで、疑問を感じた際などには詳しく確認し直すことができます。
おわりに
改めてとなりますが、アンケートの集計表は、必ずしも「正しく集計されている」=「伝わる」ではありません。
少しの整理や見せ方の工夫によって、取り扱っているデータは同じでも伝わりやすさは大きく変わります。
集計表に付加価値を与えることとは、特別な分析を行うことではなく、集計表をわかりやすくし、すばやく把握しやすい形に整えるためのひと工夫です。
こうした考え方のもと、当社ではリサーチャー・営業企画担当者、集計担当者が連携し、調査結果をよりわかりやすくするための工夫を施した集計表をご納品できるよう心掛けています。
執筆者プロフィール
NIマーケティング研究所(集計分析担当) A.Y
集めたアンケート結果の集計・分析に興味を持ち2013年から現職。
現在では食品や日用品・消費財などのメーカー様の課題解決のために集計・分析を担当しています。
単に集めたデータを正確に集計~報告するだけではなく、お客様がより解釈しやすい、
新たな気づきを得られるような分かりやすいアウトプットを意識して業務にあたっています。