企業様のご紹介

株式会社ローソン
小売業
株式会社ローソンは、ローソン本体のほか、ナチュラルローソン・ローソンストア100などコンビニエンスストアのフランチャイズチェーン展開を主な事業としています。
リサーチ概要
課題・目的
- 顧客の声を可視化して意思決定をしていく仕組みを構築したい
- 多くの調査案件を効率よく正確に推進して行きたい
リサーチ手法
リサーチ内容
- 事前にリクルートした対象者を会場に招集し、試作品の試食評価を実施する
- 試食後にミニインタビューを実施し試食品のブラッシュアップや仮説検証、インサイトの発掘に役立てる
成果・効果
- 「おいしさ」という通常比較が出来ない要素を数値化することで、おいしさが見える化され、改善が測れるようになった
- 属人的な調査工程をすべて見直してDX化することで、多くの調査案件でも正確に高品質な運用が実現できた
インタビュー
ご担当者様

株式会社ローソン
商品本部 商品サポート部
マネージャー
中澤 英和様

株式会社ローソン
CS推進室
Knowledge & Insight
アブダクティブマーケター
シニアマネージャー
田中 友紀様
お客さま起点での事業活動のために、属人的かつ感覚的な「おいしさ」を、定量的に指標化することから始まった
まず初めに、御社のご紹介と、お二人の役割を教えてください。
中澤 英和様(以下、中澤様):
ローソンでは2021年から『徹底的な顧客起点』で事業活動を推進し、お客さまの声を聴くことを基本方針に掲げています。商品開発やマーケティングの意思決定も、お客さまの声をもとに進めることが全社的に浸透しています。私は2002年に入社し、店舗業務や店舗指導業務を経て、今は、10年以上商品部に在籍しています。
田中 友紀様(以下、田中様):
私はリサーチ会社出身で2021年に入社し、現在はCLTなどの調査やDX推進を担当しています。マーケティングに関わるすべてのサポートを行っており、商品部に対しては商品開発に関わる方の思いを科学的に数値化することもひとつの役割です。可視化ツールの作成や見えた数字の確からしさの保証、リサーチのルールを作り、そのルールに基づいた運用を行っています。
中澤様:
以前は明確に味を比較できる数字の指標を持っていませんでした。開発担当者が「この商品はすごくおいしいので、おすすめしたい」と考えていても、感覚的な説明となってしまい、開発された商品を冷静に客観的に数字で評価できる仕組みが必要だと考えていました。
転機は5年前、お客さま起点で物事を進める方針が全社的に決定され、社内で『レコメンドNo.1』を目指す目標が掲げられたことでした。最初は『レコメンドNo.1とは何か』という議論から始まりました。長年、おいしさの指標が必要と考えていたことと重なり、リサーチによるおいしさの定量化・指標化を始めました。今ではお客さまの声を聞き、支持されていることを証明する道具としてリサーチを活用できるようになりました。調査を実施し、おいしさの指標化を始めてよかったと感じています。

試行錯誤でのデータドリブン起点への意識転換
従来の文化からデータドリブンへ移行する際、どのような課題がありましたか?
田中様:
最初はレコメンドNo.1ということについて定義することからスタートしました。各部署が最初の2年間は「何をもってNo.1とするか」の定義を社内で整理していくプロセスがあり、商品サポート部ではその指標の1つを「おいしさ」と定めました。各部署がそれぞれの指標で1番になっていくことで、最終的にレコメンドNo.1が達成されることが分かっていたのではないかと思います。
中澤様:
初期にすごく難しかったのは、「おいしさ評価」の数字がなかなか思うように上向かなかった時です。調査開始時は、実際の試食評価でもおいしさの点数が簡単には上がりませんでした。調査を重ねるうちに、目標とする品質と同等の評価をいただける商品も出てきましたが、すぐに売上につながったわけではありませんでした。そのため、おいしさの指標化、リサーチの実施などの自分たちの取り組みに対して疑心暗鬼になることが何度もありました。しかし、「指標化、定量化に基づく商品開発が花咲くには2,3年程度かかるから信じてやっていきましょう。」と色々な方から励ましをいただき、支えられながら続けることができました。
浸透に時間がかかった調査データの正しい解釈方法
試食調査を導入した当初、懸念していたことや苦労されたことがあれば教えてください。
中澤様:
当初は調査を実施する意図を開発担当者に理解してもらえるのか懸念がありました。開発担当者は、自分の開発した商品に対して自信を持っているので、その方々に点数化された結果を見せて、納得してもらうことが難しかったです。実際、最初に実施した調査の中には、結果が厳しいものがありました。しかし、上長が各開発担当者の元へ足を運び、「これがおいしさを上げるための道なので、これから取り組んでいきましょう。」と丁寧に説明してくれたことで、少しずつ調査結果への理解が進みました。今ではおいしさの指標の持つ意味が全ての開発担当者に定着しています。
田中様:
調査の結果で出た数字の意味を開発担当者に理解してもらうまで伝え続けました。試食評価は管理された環境で実施し、どの調査会場でも同じクオリティで食べてもらうことで、調査をまたいでも比較可能なデータを担保しています。こうした品質管理された数字の意味を理解してもらうため、繰り返し説明しました。また、誤差の範囲についても時間をかけて理解していただきました。試食評価では1点単位で点数が付きますが、1点差で勝った負けたと一喜一憂する人も多かったんです。しかし、その程度の差は誤差の範囲で、次回調査では逆転する可能性もあるため、『統計的に意味がある差で勝つことが重要』という考え方の浸透を心掛けました。
中澤様:
1点、2点の差でも勝つと開発者は嬉しいのですが、それでは誤差の範囲なので、統計的に意味がある差で勝った時に試食評価の点数を使おうという話をしました。調査結果の数字の使い方のようなところですね。
田中様:
データの活用は、社内で大きな変化を生みました。立ち上げ当初はスコアが溜まるまで時間がかかり、結果に対する信頼が得られませんでしたが、ここ1~2年で数字の意味が浸透し、開発担当者が 点数を気にする文化が定着しました。以前は『自分が作った商品はおいしい』という想いで進んでいましたが、今では数字を共通言語として比較できるようになり、商品レベルが全体的に向上していると実感しています。
中澤様:
お客さまからの評価を定量化できることで、社内の意思決定がより客観的になり、開発担当者もより納得感を持って商品づくりに取り組めるようになりました。最近では、開発担当者から「試食調査をしたい」という声が自然に上がるようになり、調査の価値が浸透してきたと感じます。調査をうまく活用している担当者は、開発のこだわりポイントを明確にし、その仮説を試食評価やインタビューで確認しています。こうした使い方を広めるため、今後は社内で事例共有や勉強会を行い、調査の本来の価値を伝えていきたいです。

調査のDX化がもたらした工数の大幅短縮効果により、多くの調査案件の正確かつ高品質な運用を実現
ここからは当社への印象についてもお聞かせください。
御社には試食調査の導入時からご発注をいただいていますが、ご発注を続けていただいている理由を改めて教えてください。
田中様:
非常に多くの調査を実施している中で、安定した運用を続けていただいており、ありがとうございます。CLTはイレギュラー対応が多く、柔軟に対応していただいていることに感謝しています。インターネットリサーチでは得られない『生の声』を聞けるのがCLTの最大の強みだと考えています。開発担当者自身が調査現場に足を運び、お客様が商品を召し上がっている姿を直接見て、インタビューをすることで、数字だけでは得られない気づきが得られます。一方で、調査結果を活かしきれていないという課題もあります。今はまだ「数値化」の段階ですが、今後はそのデータを商品開発にどのように組み込むかが我々の課題です。

NI担当者:
立ち上げからずっと関わらせていただいておりますが、CLTでイレギュラーが発生することは『御社内で良い商品を開発しよう』という文化が出来ているからこそだと思います。それが調査結果にも表れているように感じます。
ローソン様の多数の案件を運用するための取り組みとして、当社が心がけたことはありますか。
NI担当者:
多くの調査案件を正確に効率よく運用するために、「通常の調査と同じ進め方では、双方にも大きな負担がかかるので仕組み化できませんか?」と田中様より相談いただき、全体イメージを示していただいたところに対して、我々も意見を出しながら一緒に案件進行の方法やアウトプットの抜本的な見直しを行いました。従来のやり方をそのまま踏襲するのではなく、効率化を図るための仕組みを一から検討し導入しました。従来の属人的な調査案件の推進からの脱却を目指してDX化を行ったことにより、結果として我々もスムーズになりました。ローソンの担当者の皆さんの負担も減らせているのではないかと感じています。このやり方の変更は非常に大きな成功でした。
田中様:
CLTは、インターネットリサーチが主流になる前から行われている旧来手法ですが、その中に先端技術を取り入れ、DX化を進めていただいたことが非常に良かったです。調査の実施までのスピードが格段に上がり、調査後の集計結果も迅速に受け取れるようになったため、多くの案件の試食調査を大きな問題なく実施できています。従来のやり方を変え、新しい試みを始めることは運用面で難しさがあったはずですが、それでも安定した運用を続けていただいていることに感謝しています。さらに、発注や調査票についてもフォーマットを作成したり、こちら側で厳格なルールを設定し、御社にはそれに沿った運用をしていただいているため、誰が担当しても対応できる体制になっています。
大規模モニターパネルと豊富な自社会場で調査の量と質を維持
CLTでは対象者の質が重要になると思うのですが、弊社のリクルート面はいかがでしょうか。
中澤様:
当初は調査の参加経験が少ないフレッシュなモニターは、日に日に少なくなってしまうことを懸念しておりましたが、そうならないように対処していただいていており、ありがとうございます。
NI担当者:
対象者の質を維持するために、厳格なルールを遵守しながら運用しています。出来るだけフレッシュなユーザーにお話しを聞くための取り組みは、調査の数が増えている中でも続けています。調査の本数を増やすと同じ方が何度も対象者となってしまうことがあるのですが、その場合は自社だけでなく外部パネル会社と提携しモニター数を増やすことで、フレッシュなモニターを確保しつつ、ルールを守った運用をすることで、一度試食評価に参加した方がしばらくは対象者にならないように対応しております。
田中様:
最初はこんなに調査全体の規模が大きくなるとは思っていませんでしたが、途中でリサーチ会場が増設されたこともあり、非常に助かっています。やはりCLTには開発担当者が行かないと意味がないという側面があると思うので、東銀座はアクセスが良く、同じ建物の中で調査会場が多数あるのでありがたいです。
中澤様:
同じ商品開発者が隣接した会場で複数の商品を同時並行して調査を行うこともできるので、すごく効率が良くてありがたいです。
最後に、今後御社が実現したいことを教えてください。
田中様:
おいしさをずっと極めていくという方針でやってきた中で、お客様に受け入れられない価格であればどれだけおいしくても購入していただけません。調査を通して得たお客様の声を、タイムリーに商品開発に活かしていきたいと考えています。


当社担当からのコメント
弊社が対応している調査が商品開発にも役立てていただいているとお聞きして、光栄であるとともに身が引き締まる思いです。お二人の相棒のような関係性を感じられるインタビューでした。
日頃のやり取りのなかで田中様はお考えになっていることを伝えてくださるので、それを我々が対応していけるかがカギだと感じています。色々と相談していただけるのは調査会社としてとてもありがたいことなので、それに応えていく方法は今後も考えていきたいです。また、今までの膨大な調査データは御社の財産だと思っていますので、そのデータをどう活用していくかは、弊社としてもサポートさせていただければと思います。