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2024/04/22

NIリサーチャーコラム #41 従来型調査手法の魅力に再フォーカス ~拠点会場の活用~

執筆者: リサーチ・ディレクション部  グループリーダー R.M

※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。

 

1)コロナ禍以降、注目度が下がってしまった調査手法

個人的な話で恐縮ですが、昨年大きなライフイベントがあり、今後のライフプランを検討する中で『住まい』について考えることが多くなりました。

今後の住まいとして、 “このまま賃貸がよいのか、それとも持ち家の方がよいのか”、“戸建てとマンションのどちらがよいか”、“居住エリアはどこがよいか”など、悩みは尽きません。

 

 

そんな中、妻と住宅についてあれこれ話している際に、「昔、団地に住んでいた」という話題になり、ふとあることに気付きました。

 

 

コロナ禍以前、リサーチ手法として一定の需要があった『拠点会場調査(団地・大規模マンション等の集会所などを活用した調査)』が、コロナ禍以降に忘れられつつあるのではないかと…

 

 

 

そこで、今回は改めて拠点会場調査についてご紹介できればと思います。

 

 

 

2)拠点会場とは

簡単にご説明すると、居住エリアの近隣にある集会場などを利用した会場のことです。

 

主にCLTを実施する際の会場として利用されており、一般的なCLT会場とは異なる性質を持っています。
※CLTとは:当社CLT紹介ページ

 

調査業界歴が長い方には「団地会場」という呼称の方がなじみがあるかもしれませんが、団地に限らず、大規模マンション内の集会所や地域センターの集会所などもあるため、当社では『拠点会場』という表現をしています。

 

 

 

コロナ禍以前は都内を中心に相当数の拠点会場がありましたが、コロナ禍において“地域に根差した会場に多数の人を集めることが難しい”という時期が数年間続いた影響もあり、現在利用可能な会場は、東京都江東区・北区・清瀬市などの数か所となっています。

 

※会場の数は減りましたが、現在でも従来同様に調査が実施可能です。

 

 

3)拠点会場のメリット・デメリット

拠点会場のメリットとデメリットは以下の通りです。

 

<メリット>

 

ファミリー層/高齢者層を招集しやすい

 

小さなお子様同伴での来場や高齢者の来場のハードルが低いため、ファミリー層や高齢者層を対象とした調査に最適です。

 

 

欠席が少ない、欠席者の補填がしやすい

 

居住地の近く(徒歩または自転車で来ることができる範囲)の会場のため、気軽に来場することができ、欠席率が低いのが特徴です。

 

また、欠席が発生した場合でも近隣居住者が対象のため差し替えを行いやすいというのもメリットです。

 

 

一般会場でのCLTよりもコストが安価

 

団地・大規模マンションの集会所や地域センターの会議室などを使用しますので、一般会場よりも会場費を抑えることが可能です。

 

また、対象者の交通費が発生しないため、対象者謝礼も安価です。

 

 

 

<デメリット>

 

地域特性の影響を受けやすい調査には不向き

 

特定エリアの居住者をターゲットとするため、所得水準や最寄り品の購入チャネルなどが偏る傾向にあります。

 

そのため、上記のような要素の影響を受けにくい『試食/試飲調査』や『パッケージ調査』など、プロダクト評価系の調査に向いています。

 

 

低出現率の対象者条件設定には不向き

 

招集できるのは近隣の居住者となります。そのため、対象者条件が低出現率の場合、ご希望の人数を集められない場合があります。

 

特定商品のユーザーに絞るのではなく、カテゴリーユーザーなど比較的幅の広い対象者条件を設定いただき実施するケースが多いです。

 

 

会場予約は早い者勝ち

 

これは調査自体ではなく準備段階でのデメリットですが、一般的な会場と異なり、候補日の『仮予約』という概念がなく、早い者勝ちで予約が埋まっていく仕組みになっています。

 

そのため、案件を打診いただいた時点では会場が空いていても、正式発注いただいたタイミングでは既に埋まってしまっており、実施を別日程に変更せざるを得ない・・・ ということも時折発生いたします。

 

 

 

4)拠点会場ならではの調査手法(1日2回 来場調査)

 

 

“近隣に居住している”対象者を招集するという特性を最大限活用した調査として、『対象者を1日に2回呼集する』という特殊な調査を実施することもできます。

 

<1日2回来場調査の流れ>

 

調査のご経験がある方に分かりやすくお伝えすると、短時間のHUTをその場で実施するようなイメージです。
※HUTとは:当社HUT紹介ページ

 

例えば、「500mLのペットボトル飲料を1本全て飲み切った際の評価を得たい」という目的があった場合、CLT会場で一気に全部飲んで評価をするのは普段の飲み方と違いすぎて自然な評価になりません。

 

かといって通常の郵送型のHUTだと配布~データ回収に時間がかかります。

 

拠点会場での2回来場調査であれば、普段の生活の中で自然に飲用した上でその日のうちにデータを回収できますので、まさにCLTとHUTの良いところ取りといえます。

 

 

拠点会場はこういった自由度が高い調査を実施できるのも大きな強みです。

 

 

 

5)主婦層のモニター化『生活者と共創プラットフォーム』 のご紹介

従来は、拠点会場=安価なCLTという捉え方をされることが多かったのですが、地域に根差した会場という特性を生かして、当社では以下のような新たな活用方法をご提案しております。

 

(実施可能な拠点会場は一部に限定されます)

 

 

特定のテーマで継続的に来場いただくタイプのモニター化は、対象者にとっては参加のハードルを高く感じるため、応諾がやや得にくい(リクルート難度はやや高い)といえます。

 

しかしながら、拠点会場でのモニター化の場合、会場が近隣であることに加え参加者同士が顔見知りであるケースも多いため、井戸端会議的なノリで気軽に参加いただきやすいという特徴があります。

 

また、参加者間でのラポールが早期に形成しやすいため、ワークショップが効果的に機能しやすいというのも大きなメリットです。
※ワークショップとは:当社ワークショップ紹介ページ

 

 

当社では、新しい調査ツールの開発にも力を入れつつ、今回ご紹介したような従来型の調査手法も引き続き対応しております。

 

ご興味のある方は、是非お気軽に当社営業担当者までご連絡ください。

 


執筆者プロフィール

リサーチ・ディレクション部  グループリーダー R.M

 

大学では心理学を学び、2004年に新卒で日本インフォメーションに入社。

以来、営業企画担当として様々な業界のリサーチ案件に携わり、今年で調査業界歴21年目。

プレイングマネージャーとして多忙な日々を過ごす。

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